「中華料理」でひとまとめにするべからず!!東京都内で食べられる“ガチ中華”を地方料理ごとに探してみた

中華料理と聞いて、何を思い浮かべるだろう。

麻婆豆腐、餃子、チャーハン、北京ダック。少し詳しい人なら「北京・上海・四川・広東の四大料理」くらいまでは聞いたことがあるかもしれない。

しかし中国はとにかく広い

寒さの厳しい東北地方と、亜熱帯の広東。内陸の四川と、海に面した福建。イスラム文化の影響が強い新疆と、朝鮮族が暮らす延辺では、同じ国とは思えないほど食卓が違う。

そこで今回は、東京都内で現在食べられる中国の地方料理を、実際の地域・都市ごとに掘ってみた。

調べていくと、東京で専門性の高い店を確認できたのは、今回の数え方で24系統。北京や四川だけでなく、山西、河南、江西、貴州、内モンゴル、広西まで出てきた。

調査時点:2026年9月18日。各店の紹介には住所・電話番号・リンク・埋め込み地図も掲載しています。この記事の「24系統」は中国料理の公式な分類数ではありません。中国の八大菜系に加え、東京で実際に専門店・郷土料理店を確認できた省・都市・民族料理圏を、この記事用に分けたものです。代表料理は各地域の食文化を知るための例で、紹介店ですべて常時提供されているとは限りません。

北京・上海・四川・広東で終わると思ってた。全然終わらなかった。

目次

まず訂正。「中国四大料理」は日本と中国で指すものが違う

日本では「北京・上海・四川・広東」を中国四大料理として紹介することが多い。一方、中国側で古くから「四大菜系」とされてきたのは、山東(魯菜)・四川(川菜)・広東(粤菜)・淮揚。さらに現在よく知られる「八大菜系」では、山東・四川・広東・江蘇・福建・浙江・湖南・安徽の8系統になる。

つまり、日本でおなじみの「北京・上海・四川・広東」は、中国料理全体を理解するための唯一の正式分類ではない。

中国政府の中国料理の紹介や、中国烹飪協会の八大菜系の解説を見ると、その広がりがよく分かる。

そこでこの記事では「八大菜系を全部埋める」ことを目的にせず、東京で実際にその土地の料理を食べられるかを基準にした。

東京で食べられる中国地方料理をまず一覧で見る

料理系統中国の主な地域・都市東京で紹介する店まず知りたい料理
北京料理北京市全聚徳 丸ビル店北京烤鴨
山東料理済南・青島・煙台山東菜館葱焼海参
中国東北料理瀋陽・長春・ハルビン永利 池袋本店鍋包肉
延辺・朝鮮族料理吉林省延辺・延吉延吉香 新大久保店延辺冷麺
山西料理太原・大同山西亭刀削麺
河南料理鄭州・開封・洛陽掌櫃 河南料理 池袋店胡辣湯
陝西・西安料理西安・陝西省中部西安麺荘 秦唐記biangbiang麺
甘粛・蘭州料理蘭州馬子禄 牛肉面蘭州牛肉麺
新疆・ウイグル料理ウルムチ・カシュガル疆萊 中国西部本場料理大盤鶏
内モンゴル料理フフホトなど徳順源花焼売
上海料理上海市上海小吃生煎饅頭
江蘇・淮揚料理揚州・淮安・南京揚州名菜 秦淮春獅子頭
浙江・杭州料理杭州・紹興・寧波正宗 杭州小籠包東坡肉
湖北・武漢料理武漢・湖北省珞珈壹号 銀座店熱乾麺
江西・贛南客家料理南昌・贛州など幾道菜 上野店南昌拌粉
四川料理成都・楽山・自貢など赤坂四川飯店麻婆豆腐
重慶料理重慶市山城辣妹子 重慶火鍋重慶火鍋
湖南料理長沙・湘潭・衡陽李湘潭湘菜館剁椒魚頭
雲南料理昆明・大理など食彩雲南 湯島店過橋米線
貴州料理貴陽・黔東南貴州火鍋酸湯魚
広東料理広州・珠江デルタ海港美食焼味
潮州・潮汕料理潮州・汕頭火炭鶏煲滷水鵝
福建・福清料理福州・福清など四葉酒場福州魚丸
広西・柳州料理柳州・桂林・南寧壹碗粉螺蛳粉

ここからは、地図の北東側から西へ、そして長江流域・西南・華南へと移動するような感覚で見ていく。

華北・東北|北京からハルビン、延辺へ

中国北部は小麦を使った麺や餃子、羊肉、寒冷地らしい煮込み料理が目立つ。南方の「米と海鮮」のイメージとはかなり違う。

北京料理|北京市

中国の首都・北京。宮廷料理の影響を受けた華やかな料理がある一方、小麦粉を使う麺や餅、羊肉料理など庶民的な食文化も強い。

北京烤鴨はいわゆる北京ダック。アヒルを丸ごと焼き、パリッとした皮と肉を薄餅に包んでネギや甜麺醤と一緒に食べる。炸醤麺は肉味噌を小麦麺に絡める北京の定番麺。涮羊肉は薄切り羊肉を熱いスープにくぐらせる羊しゃぶ。

東京で食べるなら:全聚徳 丸ビル店。北京に本店を持つ北京ダックの老舗で、本場と同じ製法を掲げる店。北京料理の入口として分かりやすい一軒だ。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

山東料理(魯菜)|済南・青島・煙台など

黄海と渤海に面する山東省の料理。中国の伝統的な「四大菜系」の一角で、海鮮、澄んだスープ、長ネギを使う料理などで知られる。

葱焼海参はナマコを大きな長ネギと濃厚なタレで煮込む。九転大腸は豚の大腸を揚げてから甘味・酸味・香辛料を重ねて煮る手の込んだ内臓料理。糖醋鯉魚は丸ごとの鯉に甘酸っぱいタレを合わせる豪快な魚料理。

東京で食べるなら:中華居酒屋 山東菜館 浜松町 大門。山東の家庭的な味への入口として採用。まずは山東で日常的な小麦文化が分かりやすい手作り水餃子から試してみたい。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

中国東北料理|瀋陽・長春・ハルビン

遼寧・吉林・黒竜江の三省を中心とする中国東北地方。冬の寒さが厳しく、ボリュームのある煮込みや保存食、発酵白菜などがよく登場する。

鍋包肉は薄切り豚肉をカリッと揚げ、甘酸っぱいタレを絡める東北式の酢豚。地三鮮はナス・ジャガイモ・ピーマンを炒める家庭料理。酸菜白肉は発酵白菜と豚肉を煮込む鍋。鉄鍋炖は大きな鉄鍋で肉や魚、野菜を豪快に煮込む。

東京で食べるなら:永利 池袋本店。池袋で長く営業する中国東北家郷料理の店で、いわゆる町中華とはかなり違うメニューが並ぶ。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

延辺・朝鮮族料理|吉林省延辺・延吉

中国東北部、北朝鮮やロシアと接する吉林省東部には延辺朝鮮族自治州がある。中国東北の食文化と朝鮮族の料理文化が交差する地域だ。

延辺冷麺はコシの強い麺を甘味・酸味・辛味のある冷たいスープで食べる。米腸は腸の中にもち米や豚の血、香辛料などを詰めて蒸す朝鮮族の腸詰。クミンや唐辛子を振った羊肉串も身近な料理。

東京で食べるなら:延吉香 新大久保店。韓国料理店の多い新大久保にありながら、中国・延辺の朝鮮族料理を前面に出しているのが面白い。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

山西・河南・西北|麺と羊肉だけでも別世界

中国内陸へ進むと、小麦文化の存在感がさらに強くなる。刀削麺、幅広麺、手延べ麺、パンのような饃……「麺」と一言でまとめるのが乱暴なくらい種類が多い。

山西料理|太原・大同など

山西省は中国でも特に小麦料理の種類が多い地域として知られる。黒酢の産地でもあり、麺と酢の組み合わせが印象的。

刀削麺は小麦生地の塊を専用の刀で削り、そのまま沸騰した鍋へ飛ばして茹でる麺。もっと見慣れない莜面栲栳栳は、莜麦系の粉で作った薄い生地を小さな筒状にして蜂の巣のように並べ、蒸してタレにつけて食べる。過油肉は豚肉を油通ししてから野菜と炒める山西の定番。

東京で食べるなら:山西亭。店名どおり山西郷土料理を掲げる専門店。刀削麺だけで終わらず、山西の粉もの文化を掘りたい店だ。

店舗情報

  • 住所:東京都新宿区大久保2-6-10 新宿第二アルプスマンションB1F
  • 電話:03-3202-7808
  • HP:公式HP

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

河南料理|鄭州・開封・洛陽

中国のほぼ中央に位置する河南省。古都・洛陽や開封を抱え、小麦を使った麺、スープ、包子などの文化が発達している。

胡辣湯は胡椒を強く効かせたとろみのあるスープで、牛肉や羊肉、麩、春雨などが入り、朝食としても親しまれている。河南燴麺は幅広の麺を羊肉や牛肉のスープで煮る料理。開封灌湯包は中にたっぷりのスープを閉じ込めた包子。洛陽には汁物を次々と出す宴席料理洛陽水席もある。

東京で食べるなら:掌櫃 河南料理 池袋店。胡辣湯や開封系の料理など、河南の地名がそのままメニューに出てくるのがいい。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

陝西・西安料理|西安周辺

古都・西安を中心とする陝西省。小麦文化と羊肉文化が強く、麺や饃の種類が豊富。

biangbiang麺はベルトのように幅広く伸ばしたモチモチの手打ち麺。油や唐辛子、酢などを絡めて食べる。肉夾饃は焼いた平たいパンに細かく刻んだ煮込み肉を挟む、中国版の肉サンド。羊肉泡饃は小さくちぎった饃を羊肉スープに浸して食べる。涼皮はつるっとした冷たい麺状の生地を酢や唐辛子で和える軽食。

東京で食べるなら:西安麺荘 秦唐記 新川本店。まずは看板のbiangbiang麺から。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

甘粛・蘭州料理|蘭州

中国西北部の甘粛省。その省都・蘭州を代表する料理が、日本でも少しずつ知られるようになった蘭州牛肉麺。

蘭州牛肉麺は澄んだ牛肉スープに手延べ麺、薄切り牛肉、大根、香菜、辣油などを合わせる。濃厚な担々麺系とは逆で、スープ自体は比較的澄んでいる。醸皮は小麦由来のモチッとした生地を細長く切り、酢・唐辛子・ニンニクなどで和える冷菜。手抓羊肉は羊肉をシンプルに茹でて食べる料理。

東京で食べるなら:馬子禄 牛肉面 神保町店。蘭州の老舗ブランドにつながる牛肉麺専門店で、麺の太さを複数から選べる。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

新疆・ウイグル料理|ウルムチ・カシュガルなど

中国最西部の新疆ウイグル自治区。中央アジアに近く、イスラム文化の影響が強い。羊肉、クミン、ナン、手延べ麺などが前面に出てくる。

大盤鶏は鶏肉・ジャガイモ・ピーマンなどを唐辛子や香辛料で豪快に煮炒めした大皿料理。残った汁に幅広麺を入れて食べることもある。羊肉串は羊肉を串に刺し、クミンや唐辛子を効かせて焼く。ラグマンは手延べ麺に羊肉と野菜の炒め煮をかける。ポロは羊肉や人参と炊くピラフ系の米料理。

東京で食べるなら:疆萊 中国西部本場料理。店側が新疆出身の料理人による本場の味を掲げており、羊肉串や手打ち麺など西域らしい料理が並ぶ。

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※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

内モンゴル料理|フフホトなど

ここでいう内モンゴル料理は、独立国のモンゴル料理ではなく、中国の内モンゴル自治区、とくにフフホト周辺の食文化。

花焼売は薄い皮が花びらのように開いた内モンゴル式の焼売。羊肉などの餡を包み、フフホトの名物として知られる。手把肉は大きく切った羊肉をシンプルに茹でて食べる豪快な料理。羊の内臓を使った羊雑湯や、甘くない塩味ミルクティーなどもこの地域らしい。

東京で食べるなら:徳順源。1931年創業のフフホトの店が2026年に日本初進出。看板の花焼売は、この企画にかなり分かりやすい一品。

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※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

華東・長江流域|上海、揚州、杭州は同じ「東の中華」ではない

上海周辺へ来ると、海鮮、淡水魚、酒、醤油、繊細なスープなどが目立つ。一方、さらに長江を内陸へさかのぼると武漢や江西の力強い味へ変わっていく。

上海料理|上海市

上海料理は醤油や砂糖、酒を使った濃いめでやや甘い味付けが目立つ。海や川に近いため魚介も豊富。

小籠包は肉餡と熱いスープを薄い皮に閉じ込めて蒸す点心。生煎饅頭は底をカリッと焼いた肉入りの饅頭。紅焼肉は豚バラを醤油と砂糖などで甘辛くトロトロに煮る。葱油拌麺は香ばしいネギ油と醤油を絡めたシンプルな麺。

東京で食べるなら:上海小吃。上海の家庭料理を軸に、四川・湖南系の料理まで幅広く扱う歌舞伎町の老舗。

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※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

江蘇・淮揚料理|揚州・淮安・南京

淮揚料理は中国の伝統的な四大菜系にも数えられる系統。包丁仕事や火入れが繊細で、素材の味を生かした上品な料理が多い。

獅子頭は大きな豚肉団子をふっくら仕上げて煮込む料理。名前は勇ましいが、巨大な肉団子。文思豆腐は豆腐を髪の毛のように細く切り、澄んだスープに浮かべる超絶技巧系の料理。大煮干絲は押し豆腐を細切りにしてハムや筍などとスープで煮る。南京では塩味を利かせた塩水鴨も有名。

東京で食べるなら:揚州名菜 秦淮春。銀座で淮揚料理を掲げる専門店で、文思豆腐のような繊細な料理まで楽しめる。

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※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

浙江・杭州料理|杭州・紹興・寧波

上海の南に位置する浙江省。杭州の西湖、紹興酒、海に面した寧波など、同じ省内でも食文化に幅がある。

東坡肉は厚切りの豚バラを醤油や酒でじっくり煮込む料理。日本の豚の角煮にもかなり近い。龍井蝦仁はむきエビを杭州名産の龍井茶と合わせて炒める。西湖醋魚は淡水魚に甘酸っぱい黒酢系のタレを合わせる杭州料理。叫花鶏は鶏を包んで蒸し焼きにする豪快な料理。

東京で食べるなら:正宗 杭州小籠包。浙江料理すべてを網羅する店というより、杭州の点心文化への入口として取り上げたい。

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※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

湖北・武漢料理|武漢を中心とした湖北省

長江と漢江が交わる大都市・武漢。朝食文化が非常に豊かで、麺や軽食の種類が多い。

熱乾麺は茹でた麺をスープに入れず、濃厚なゴマだれや調味料と混ぜて食べる武漢の定番朝食。三鮮豆皮は米や緑豆から作る薄い皮にもち米、豚肉、椎茸などを詰めて焼く。蓮藕排骨湯はレンコンと豚スペアリブをじっくり煮る素朴なスープ。面窩は輪っか状に揚げる米系の軽食だ。

東京で食べるなら:珞珈壹号 銀座店。湖北・武漢料理を明確に掲げ、熱乾麺や蓮根スープなど地域色の強い料理を扱う。

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※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

江西・贛南客家料理|南昌・贛州など

江西省は中国南東部の内陸。今回取り上げる店は、その中でも贛南を中心とした客家料理に強い。

南昌拌粉は茹でた米粉を醤油、唐辛子油、漬物、ピーナツなどと和える汁なし麺。瓦罐湯は小さな陶器の壺に肉や具材を入れ、大きな壺の中で長時間加熱するスープ。客家料理では、豆腐に味付けした肉を詰めて煮る客家ヨントーフや、豚バラと梅菜を蒸し煮にする梅菜扣肉も代表的。

東京で食べるなら:幾道菜 上野店。江西客家料理を掲げる専門店で、客家ヨントーフや梅菜を使う料理も確認できる。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

西南・中南|四川だけが「辛い中華」じゃない

ここは今回とくに面白かった地域。四川、重慶、湖南、貴州はどれも「辛い」で括られがちだが、実際には花椒のしびれ、発酵唐辛子、酸味、燻製など、辛さの方向がかなり違う。

「辛い中華」で一括りにしてたの、だいぶ雑だった。

四川料理|成都・楽山・自貢など

日本でも知名度の高い四川料理。唐辛子の辛さ「辣」と花椒のしびれ「麻」を組み合わせる麻辣が有名だが、それだけではない。中国側では「百菜百味」と表現されるほど味型が多く、魚香、怪味、紅油などさまざまな調味法を使い分ける。

麻婆豆腐は豆腐と挽肉を豆板醤や花椒などで煮る。水煮魚は白身魚を唐辛子と花椒たっぷりの熱い油・スープで仕上げる。夫妻肺片は牛肉や牛モツの薄切りをラー油や花椒のタレで和える冷菜。担担麺は挽肉、ゴマ、辣油などを合わせる麺料理。

東京で食べるなら:赤坂四川飯店。現代の成都の現地食堂そのもの、という意味ではなく、日本に四川料理を広めてきた代表格として取り上げたい。

店舗情報

  • 住所:東京都千代田区平河町2-5-5 全国旅館会館5F・6F
  • 電話:03-3263-9371
  • HP:公式HP

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

重慶料理|重慶市

かつて四川省に属し、現在は直轄市の重慶。四川と近い食文化を持ちながら、火鍋や小麺など独自の「重慶らしさ」が強い。

重慶火鍋は牛脂を使った濃厚なスープに大量の唐辛子と花椒を入れる火鍋。具材を区画ごとに煮る九宮格スタイルも有名。重慶小麺はラー油、花椒、ゴマなどを効かせる庶民的な麺。辣子鶏は小さく切って揚げた鶏肉を大量の乾燥唐辛子と炒める。酸辣粉は酸っぱく辛い春雨系の麺料理。

東京で食べるなら:山城辣妹子 重慶火鍋 上野店。看板の九宮格麻辣火鍋で、重慶の火鍋文化を正面から味わえる。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

湖南料理(湘菜)|長沙・湘潭・衡陽など

湖南料理も中国八大菜系のひとつ。唐辛子を大量に使うが、四川ほど花椒のしびれを主役にせず、発酵した辛味や酸味、燻製の香りを組み合わせるのが特徴。

剁椒魚頭は大きな魚の頭に刻んだ発酵唐辛子を大量に載せて蒸す料理。見た目のインパクトもかなり強い。小炒肉は豚肉と青唐辛子を強火で炒める家庭料理。臘肉は塩漬け・燻製した豚肉。東安鶏は鶏肉に酢、唐辛子、ショウガなどを利かせた料理。

東京で食べるなら:中国湖南料理 李湘潭湘菜館。湖南料理と四川料理の違いまで店側が説明している専門性の高い一軒。

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雲南料理|昆明・大理など

中国南西部の雲南省。標高差が大きく、少数民族も多いため、米線、きのこ、ハーブ、発酵食品など食文化が非常に多彩。

過橋米線は熱々の鶏スープに肉、野菜、米線などを客が順番に入れて仕上げる料理。汽鍋鶏は中央に筒のある特殊な土鍋を使い、蒸気で鶏を蒸し煮にして旨味を凝縮させる。雲南は野生きのこでも有名で、さまざまな菌子料理も重要な食文化。

東京で食べるなら:食彩雲南 湯島店。過橋米線や蒸気を使った鶏スープなど、雲南らしい料理が分かりやすい。

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貴州料理|貴陽・黔東南など

雲南の東にある貴州省。唐辛子だけでなく「酸」が非常に重要で、発酵による酸味を多用する。

酸湯魚は発酵させたトマトや唐辛子などから作る酸っぱいスープで魚を煮る料理。絲娃娃は薄いクレープ状の皮で細切り野菜や漬物を包み、酸味のあるタレをかける軽食。腸旺麺は豚の腸と血を固めた具を載せ、赤い辣油を効かせる麺。花溪牛肉粉は牛肉入りの米粉麺。

東京で食べるなら:貴州火鍋。2026年に新小岩へ移転して営業中。まずは「酸っぱい火鍋」という、日本ではまだ珍しい味を体験したい。

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華南・東南|広東の中にも潮州、福建、広西がある

日本では「広東料理」でまとめられがちな華南だが、潮州・潮汕にはまた別の料理文化があり、隣の福建や広西へ行けばさらに変わる。

広東料理(粤菜)|広州・珠江デルタ

中国八大菜系のひとつで、日本でも比較的なじみが深い広東料理。海鮮、点心、焼き物、蒸し料理など幅広く、素材の持ち味を生かす料理が多い。

焼味は叉焼、皮付き豚、ローストダックなど、タレを塗って焼き上げる肉料理の総称。煲仔飯は土鍋で米を炊き、腸詰や鶏肉などを載せる土鍋ご飯で、底のおこげも楽しむ。腸粉は米粉で作る薄い皮にエビや叉焼などを包んで蒸す料理。清蒸魚は魚をショウガやネギとシンプルに蒸して味わう。

東京で食べるなら:広東料理 海港美食。焼味を得意とする店で、まずは皮を香ばしく仕上げた脆皮焼肉を狙いたい。

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※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

潮州・潮汕料理|潮州・汕頭

広東省東部の潮州・汕頭一帯は「潮汕」と呼ばれ、広州を中心とする広東料理とはまた違う食文化を持つ。海鮮や澄んだ味付け、煮込み、牛肉料理などが目立つ。

滷水鵝はガチョウを醤油や香辛料を使った煮汁でじっくり煮る料理。蠔烙は牡蠣をデンプン質の生地と卵でカリッと焼く潮州風牡蠣オムレツ。潮汕牛肉火鍋は新鮮な薄切り牛肉をあっさりしたスープに短時間くぐらせる牛しゃぶ。魚飯は魚を塩茹でして冷ました、名前に「飯」と付くのに米料理ではない独特の魚料理。

東京で食べるなら:火炭鶏煲。高田馬場で潮州・潮汕系の料理を扱う現在営業中の店。店の特色が出る無花果と鶏を使った鍋も面白い。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

福建・福清料理(閩菜)|福州・福清など

台湾の向かい側に位置する福建省。山と海の両方に恵まれ、海鮮やスープ、米粉、魚のすり身料理などが豊富。

福州魚丸は弾力のある魚のすり身で豚肉などの餡を包んだ魚団子。日本のつみれを想像すると近いが、中に肉餡が入る。海蛎餅は牡蠣や野菜を生地で包んで揚げる軽食。光餅はゴマを付けて焼く丸くてやや硬めのパン。高級料理では、干し海産物や肉などをじっくり煮る佛跳牆も福建を代表する料理として有名。

東京で食べるなら:四葉酒場。小岩で福建省の料理を中心に扱い、メニューにも「福建料理」「福清料理」の区分がある。まずはそのカテゴリーから数品選んでみたい。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

広西・柳州料理|柳州・桂林・南寧

ベトナムと国境を接する広西チワン族自治区。米粉文化が非常に強く、都市ごとに名物の米麺がある。

もっともインパクトが強いのが柳州名物の螺蛳粉。米粉麺を酸っぱく辛いスープで食べ、発酵タケノコ、ピーナツ、揚げ湯葉などを載せる。独特の強い香りで有名だが、その主な原因は発酵タケノコ。

桂林米粉は桂林の米麺で、濃いめのタレや肉、漬物などを合わせる。老友粉は南寧の酸っぱく辛い米麺。陽朔周辺では川魚をビールやトマト、唐辛子などと煮る啤酒魚も名物。

東京で食べるなら:壹碗粉。広西・柳州出身の料理人が作る本格螺蛳粉を掲げる店で、この地域を代表させる理由がかなり明確。

店舗情報

※住所・電話番号は2026年9月18日時点で確認。営業時間・定休日は変更される場合があるため、訪問前にリンク先で最新情報をご確認ください。

八大菜系なのに今回入れなかった「安徽」と、ややこしい「海南」

ここまで読んで「八大菜系なら安徽料理がない」と気づいた人もいるかもしれない。

安徽料理(徽菜)は確かに中国八大菜系の一角。ただ、今回の条件である「2026年9月現在、東京都内で営業を確認でき、安徽料理を専門性高く紹介できる固定店舗」として採用できる店を確認できなかったため、本編から外した。

無理に「安徽っぽい料理が1品ある店」を入れるより、専門店が見つかった時点で追記する方がこの記事の趣旨に合う。

もうひとつ紛らわしいのが海南料理。東京には「海南鶏飯」を看板にする店が複数あるが、日本でよく見る海南鶏飯はシンガポール料理として広まったスタイルが中心。海南島にルーツを持つ料理ではあるものの、今回は中国・海南省の地方料理専門店とは別に考えた。

この記事は「中国の全地方料理を完全網羅した一覧」ではなく、2026年9月時点で東京都内の現役店まで確認できた料理圏をまとめたもの。専門店の新規開店・閉店・移転があれば、今後増減する可能性があります。

東京だけで、中国の食文化を24通り歩けた

最初は「北京・上海・四川・広東くらいに分ければ十分かな」と思っていた。

ところが実際に掘ってみると、山西には蜂の巣のような蒸し麺があり、西安には幅広のbiangbiang麺、蘭州には澄んだ牛肉麺、新疆では羊肉とクミン、貴州では発酵の酸味、潮州ではガチョウの煮込み、広西では強烈な香りの螺蛳粉が出てくる。

「中華料理」という一言の中に、まったく別の食文化が何層も重なっていた。

しかも、今回挙げた24系統の多くは飛行機に乗らなくても東京都内で実際に食べられる。

池袋だけでもかなりの地域を回れるし、新大久保、小岩、高田馬場、上野、銀座、神保町まで広げれば、中国の地図を料理でたどるような食べ歩きができる。

「今日は中華にしよう」ではなく、次は「今日は湖南にする」「今日は河南にする」くらいまで細かく選んでみると、外食の選択肢は格段に増える。

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