90年代の渋谷を舞台にした実写サウンドノベルゲーム『街 ~運命の交差点~』出演者たちの現在を調べてみた

チンチコール!

この言葉だけでピンと来た人とは、たぶん長い話ができる。

1998年1月22日にセガサターンで発売された、チュンソフトの実写サウンドノベル『街』

後にPlayStationへ移植された際には『街 ~運命の交差点~』となり、その後PSPにも移植されました。

舞台は90年代の渋谷。

刑事、元ヤクザ、大学生、作家、高校生……まったく違う人生を送る8人の主人公を切り替えながら、互いの行動が知らないところで別人の運命を変えていくという群像劇です。

ただ、久しぶりにこのゲームについて調べているうちに、ゲームの内容以上に気になってしまったことがありました。

この人たち、今どうしているんだろう。

窪塚洋介さんやダンカンさんのように、その後もテレビや映画で見続けた人なら分かります。

むしろ気になるのは、当時『街』でしか見た記憶がないような人たち。

雨宮桂馬の人は? 七曜会のメンバーは? あの強面のヤクザは? 陽平の周りにいた女性たちは?

そこで今回は、役名と出演者名を確認できた人物を可能な限り拾い、『街』出演後の活動から2026年現在までを追ってみました。

目次

そもそも『街』ってどんなゲームだった?

『街』は、『弟切草』『かまいたちの夜』に続くチュンソフトのサウンドノベル第3弾。

1998年1月22日にセガサターン用ソフトとして発売されました。

当時としてかなり珍しかったのが、登場人物も背景もほぼ実写だったこと。

しかも主人公は一人ではありません。

8人それぞれの物語を行き来しながら進め、ある人物が選んだ行動によって、何時間か後の別の人物がバッドエンドへ向かうこともあります。

そこで別人の過去へ戻り、行動を変えて未来を修正する。

まったく関係ないと思っていた他人の行動が、自分の知らないところで自分の人生を変えている。それをゲームシステムそのものにした作品です。

企画当初には「主人公100人」という構想まであり、最終的な本編の主人公は8人。撮影された実写画像は6,000枚以上、出演者も約400人に及びました。

今見ると1998年の渋谷そのものが面白い

2026年に『街』を見ると、発売当時とはまったく違う面白さもあります。

公衆電話、ポケベル、90年代のファッション、街中の看板、当時の店舗、車、渋谷の雑踏。

後から「90年代風」に作ったセットではありません。

本当に1990年代だった頃の渋谷で撮影している。

発売時にはただの背景だった風景が、28年後には時代そのものの記録になっています。

公衆電話が街に並んでいても、誰も「レトロだね」なんて思わなかった時代。

『街』出演者一覧――あの人たちはその後どうなった?

ここからが今回の本題。

セガサターン版のスタッフロールや各シナリオの登場人物資料から、役名と演者名を結び付けられる人物を拾いました。

主人公だけでなく、七曜会、白峰組、テレビ局関係者、家族、恋人、ほんの数シーンだけ登場する人物まで含めています。

「現在の情報を確認できず」は、引退や消息不明という意味ではありません。本人と確実に判断できる近年の公式プロフィール、出演情報、本人発信などを確認できなかった場合は、無理に推測せずそのまま記載しています。

役名出演者SNS・公式HP・参考リンクその後・2026年現在
雨宮桂馬あらい正和公式Xフォルツァ現在も俳優。芸能プロダクション・フォルツァに所属し、CMなどへの出演のほか演技講師、ラジオパーソナリティとしても活動している。
牛尾政美松田勝
現・松田優
公式ブログ松田優に改名し、現在も俳優として活動。2026年には新作実写ADV『シブヤスクランブルストーリーズ』のメインキャスト・馬場蛮役として発表された。
馬部甚太郎松田勝
現・松田優
公式ブログ牛尾政美と同じ松田優による一人二役。正反対の人物を同じ俳優が演じ分けていた。
市川文靖ダンカンTAP公式プロフィール現在も芸人・俳優・作家などで活動。2026年にもPrime Video作品、テレビ番組、舞台などへの出演が続いている。
篠田正志草野康太T-artist公式プロフィール現在も俳優。近年も映画を中心に活動しており、2025年公開『行きがけの空』などに出演。所属事務所の現行プロフィールにも掲載されている。
細井美子伊藤さおり人力舎・北陽公式プロフィール虻川美穂子とのお笑いコンビ「北陽」でブレイク。2026年現在も北陽として活動し、人力舎のイベントやテレビ出演などを続けている。
高峰隆士増田雄一出演情報モデル・俳優として活動。少なくとも2025年にはミライスピーカーのテレビCM出演が確認できる。
飛沢陽平仲田健一本人インタビュー21歳から44歳ごろまでモデルとして活動。その後、大手生命保険会社の保険外交員へ転身したことを2022年のインタビューで明かしている。2026年現在も同職かは確認できず。
青井則生武沢物語確認できず『街』では本編の脇役から隠しシナリオの主人公へ昇格する印象的な人物。出演者・武沢物語については、その後につながる公的な活動情報を確認できなかった。
高峰厚士塩山義高プロフィール日本タレント名鑑系の現行データでは現在も「俳優」として掲載。Vシネマ『ミナミの帝王』シリーズ、映画、テレビ、舞台などの出演歴がある。
パトリック・ダンディ浮部文雄確認できずPSP版で主人公に昇格したキャラクター。浮部文雄については『街』出演後の近況につながる信頼できる公的情報を確認できなかった。
サギ山勇ヨースケ
現・窪塚洋介
公式サイトのちの窪塚洋介。『池袋ウエストゲートパーク』『GO』などで大ブレイクし、現在も俳優・音楽活動を継続。2026年『シブヤスクランブルストーリーズ』ではメインキャスト・銀原ギン役。
海塚正治郎
(ワニ治郎)
大矢達確認できず元大物代議士という強烈な役。出演者・大矢達については、近年の本人と確定できる活動情報を確認できず。
伍長大矢達確認できず高峰隆士編に登場。海塚正治郎と同じ大矢達が出演。近況は確認できず。
麻生しおり雪乃五月
現・ゆきのさつき
現在は「ゆきのさつき」名義で声優として活動。『犬夜叉』日暮かごめ、『銀魂』志村妙など多数の作品で知られる。
権田玄三那須正成確認できず俳優としてテレビなどへの出演歴は確認できるが、近年の公的なプロフィールや新規出演情報は確認できなかった。
沼田岳義金井大人物資料あり映画・テレビで長く活躍したベテラン俳優。2001年6月17日に死去。
土屋利男
(ガイ)
木村季果確認できず『街』以外にも俳優活動歴はあるものの、現在につながる公的情報は確認できず。
ジェロニモ谷山紀章GRANRODEO公式現在も声優・歌手として第一線で活動。GRANRODEOのKISHOWとしても活動し、2026年にはBillboard Live公演を開催。
都倉純一中村光一2026年講演レポートチュンソフト創業者で『街』の製作者本人。2026年2月にはゲーム保存協会の「伝説のゲームクリエイターに聞く」に登壇し、約180人規模の会場が満員となった。
神代恭介長坂秀佳『街』の原作・脚本・監修を担当した脚本家本人による出演。俳優が本業ではなく、『特捜最前線』など多数のテレビ脚本で知られる。
柴田亜美柴田亜美漫画家本人が顔写真で登場。『街』の発売記念企画へ一般応募し、本当にゲーム内へ採用されたという変わった経緯を持つ。現在も漫画家として活動を続けている。
カバ沢猛楠見尚己マウスプロモーション現在も声優・俳優として活動。『ONE PIECE』『ドラえもん』など多数の作品へ出演し、養成所で後進の指導も行っている。
クマ野健太久保田篤公式サイトX実は初代「いいとも青年隊」の一人。現在は「マンション久保田」としてパチンコ関連の活動も行う。2026年6月には元いいとも青年隊の野々村真との再会が報じられた。
椎名みちる和泉ちぬオスカープロモーション現在も女優として活動。舞台・ドラマ・映画への出演を続けている。
デューク浜地団時朗訃報あり『帰ってきたウルトラマン』郷秀樹役などで知られる俳優。2023年3月22日、肺がんのため74歳で死去。
エビ原マリ子篠崎はるく舞台出演記録あり『街』後も舞台などで活動。2004年には野田秀樹作・演出『透明人間の蒸気』に出演している。近年の新規活動は確認できず。
高峰綾菊地則江確認できず1991年度ミス日本の受賞者として記録があり、女優・モデルとして活動。近年の公的活動は確認できず。
鯨井刑事剛たつひと公式ブログ俳優・司会者・リポーターとして長く活動。日本タレント名鑑にも現在プロフィールが掲載されている。
孤島三次鶴見亨司確認できず『街』では物語を大きく動かす「キツネの三次」。出演者本人のその後につながる確実な情報は確認できず。
白峰忠道竜雷太所属事務所プロフィール『太陽にほえろ!』ゴリさん役などで知られるベテラン俳優。現在も所属事務所に俳優として掲載されている。
白峰るい子佐藤亜里香確認できず『街』以外にも女優としての活動歴はあるが、同姓同名人物もおり、2026年現在の本人と確定できる情報は確認できず。
山吹京一郎神威杏次神威組公式俳優から映画を作る側へも活動を拡大。脚本・監督・プロデュースを手掛け、2026年には監督作『ヘブンズベル』を東京、大阪、名古屋などで劇場公開した。
大松正吉NARUKO確認できず同名義の別分野の人物が多数見つかるため、『街』出演者本人と確認できるその後の活動情報は特定できず。
日曜日久野真紀子
現・クノ真季子
公式プロフィール現在はクノ真季子名義で女優活動を継続。2026年には関西テレビ系ドラマ『夫に間違いありません』へ出演。
月曜日諏訪太朗現在も映画・ドラマで活動する俳優。2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』にも出演している。
火曜日鈴木覚確認できず同姓同名の人物が非常に多く、『街』出演者本人と確認できる近年情報は特定できず。
水曜日/深町結衣留美確認できずPSP追加シナリオでは深町結衣としても登場。出演名が「留美」のみで人物の特定が難しく、近年の公的活動情報は確認できず。
木曜日小木曽玲一出演記録1930年生まれの俳優・モデル。『街』後にも出演歴があり、確認できる映画出演は2007年作品まで。近年の活動状況は確認できず。
土曜日森川涼出演記録『街』後もテレビ出演を続け、『はるちゃん6』などに出演。確認できるテレビ出演記録は2008年『トミカヒーロー レスキューフォース』まで。現在の活動は不明。
瀬山高広千葉慎也確認できず映画などへの出演歴は確認できるものの、『街』以降の長期的な活動や現在の近況は確認できず。
尾形敬治津村和幸ケイエムシネマ企画現在も所属俳優として活動。映画、ドラマ、CMなど多数に出演している。
津川佳代子十勝花子訃報あり女優・タレントとして長く活動。2016年8月21日、大腸がんのため70歳で死去。
内藤淳川屋せっちん確認できず『街』後にも俳優活動を続け、『428 ~封鎖された渋谷で~』にも別の形でつながる人物。近年の新規活動情報は確認しづらい。
保科星子松田のぞみ確認できず『街』出演後の本人と確定できる公的な活動情報を確認できず。
ハーシー佐藤正広確認できず白峰忠道の若いボディーガード役。同姓同名人物が多数いるため、出演者本人の現在は特定できず。
末永晶子黒木真由美公式サイト1970年代にアイドル歌手として活動した後、現在も音楽活動を継続。2026年8月にはBSフジ『クイズ!脳ベルSHOW』へ出演。
木嵐袋郎野口雅弘現行プロフィール現在も夢工房の俳優としてプロフィールが掲載されている。『仮面ライダーキバ』『セカンドバージン』などにも出演。
倉科亜美栗林知美新潟の地元報道女優・タレントとして活動後、2001年に松尾伴内と結婚。芸能界を離れ、その後新潟へ。2013年の地元報道ではハーブなどの栽培や専門店運営が紹介されている。2026年現在の本人発信は多くない。
秋葉美奈子関幸代確認できず後年には別名義での女優活動を記録する二次資料があり、2000年代まで出演歴を追える。2026年につながる公的情報は確認できず。
片瀬ユキ雨宮朋絵本人note2012~2018年に家族で香港生活を経験。帰国後の2020年には薬膳の勉強を始めたことを本人が発信している。芸能活動だけではない意外なその後が追える出演者の一人。
秋葉雄三並樹史朗現行プロフィール現在も夢工房所属の俳優として掲載。2024年『ぴっぱらん!!』、2025年『もしも脳梗塞になったなら』など、近年まで映画出演を続けている。
秋葉恭子北川かた子確認できず『街』出演者本人と確実に結び付けられる近年の活動情報は確認できず。
香月ミカレ中山玲プロフィール現在も女優プロフィールが掲載されている。『相棒 season8』『終の信託』などテレビ・映画・舞台への出演歴あり。近年の新規出演は確認できず。
井端和孝大滝昇確認できず俳優としての過去の活動情報はあるものの、2000年代以降の本人と確定できる公的な近況は確認できず。
秋山薫谷口あゆみ確認できず女優・モデルとして活動し、写真集やCMなどにも出演。同姓同名のテレビ制作者などが存在するため、現在の人物と安易に結び付けることはできなかった。
高田洋一不破達也確認できず『街』出演後の本人と確認できる近年の活動情報は見つけられなかった。
タナカさん常川博行確認できず細井美子へダイエット商品を売りつけるドリーム通商のセールスマン。常川博行本人の近年情報は確認できず。
白田琢朗
(白ブタ)
松山幸次本人ブログ『銀狼怪奇ファイル』『金田一少年の事件簿』などにも出演した俳優。2015年11月21日、自宅で倒れ40歳で急死したことを兄が本人ブログで報告している。
エンペラー黒川
(黒川イタチ)
豊嶋稔確認できず俳優としての出演歴は確認できるものの、近年の本人活動を確認できる公式情報は見つけられなかった。
高峰かすみ山崎勢津子タイムリーオフィス2026年現在もタイムリーオフィスの「女優」所属者として掲載されている。
小糸亜弓平松晶子賢プロダクション現在も声優として活動。『SLAM DUNK』赤木晴子、『ケロロ軍曹』日向秋などで知られ、現在は声優養成所や専門学校で後進の育成にも携わる。
飛沢周平国枝量平ケイエムシネマ企画現在も現役俳優。近年も『虎に翼』『となりのナースエイド』『ぼくたちん家』などテレビ作品への出演が続いている。
飛沢和子高橋かすみプロフィール夢工房所属の女優として現行プロフィールが掲載されている。映画、テレビ、CMなどへの出演歴あり。

※上表は「役名と出演者名を結び付けられた人物」が対象。スタッフロールには、このほかにも役名との対応が明示されていない出演者が多数クレジットされています。

※一部攻略資料では「高峰霞/山崎瀬奈津」と表記されていますが、セガサターン版スタッフロールには「高峰かすみ/山崎勢津子」と記載されているため、ゲーム本編のクレジット表記を優先しました。

8人の主人公を演じた7人は今

本編の主人公は8人ですが、牛尾政美と馬部甚太郎を松田勝さんが一人二役で演じているため、演者は7人。

ここでは、この7人だけもう少し詳しく見ていきます。

雨宮桂馬(あらい正和)

公式・SNS:公式Xフォルツァ

ゲーム好きで、少々思い込みの激しい刑事・雨宮桂馬。

あらい正和さんは2026年現在も俳優として活動しています。

所属するフォルツァではCMなどへの出演情報が掲載されているほか、自身の長い俳優経験を生かして演技指導も担当。

さらに市川うららFMで「あらい正和とバニークラッシュ!」などのラジオ番組を持ち、『街』について話す機会もあります。

2025年には『シブヤスクランブルストーリーズ』への参加が発表されましたが、2026年6月に降板が発表されました。

その経緯については制作側とあらいさん側で説明の異なる部分があるため、ここでは降板したという事実のみにとどめます。

牛尾政美・馬部甚太郎(松田優/当時・松田勝)

公式・SNS:松田優公式ブログ

強面の元ヤクザ・牛尾政美と、顔はそっくりなのに中身はまるで違う売れない役者・馬部甚太郎。

二人を演じた松田勝さんは現在、松田優の名前で俳優活動を続けています。

映画、Vシネマ、舞台などで長く活動を続け、俳優育成にも携わってきました。

そして2026年には『シブヤスクランブルストーリーズ』のメインキャストとして正式発表。

役名は馬場蛮

1998年の『街』から約30年。再び渋谷を舞台にした実写アドベンチャーで主要人物を演じることになりました。

市川文靖(ダンカン)

公式・SNS:公式X株式会社TAP公式プロフィール

売れっ子テレビドラマのプロットライターでありながら、純文学への執着を捨て切れない市川文靖。

演じたダンカンさんについては、「今どうしている?」という説明自体がほとんど必要ないかもしれません。

『街』以前から芸人・放送作家として知られていましたが、その後も俳優、映画監督、作家など幅広く活動。

2026年にもテレビ東京『よじごじDays』、Prime Video『犯罪者』、舞台作品などへの出演情報が公式サイトで更新されています。

篠田正志(草野康太)

公式:T-artist公式プロフィール

怪しげな集団「七曜会」に巻き込まれていく大学生・篠田正志。

草野康太さんも現在まで俳優活動を継続しています。

映画を中心に活動しており、近年にも『行きがけの空』『お茶の子、歳々。』などへ出演。

テレビで毎週見るタイプの俳優ではないものの、30年近くにわたって作品へ出続けている人物でした。

細井美子(伊藤さおり)

公式・SNS:公式Instagramプロダクション人力舎・北陽

恋人のために無茶なダイエットへ挑む細井美子。

演じたのは現在の北陽・伊藤さおりさんです。

『街』出演後、虻川美穂子さんとのコンビで『はねるのトびら』などへ出演し、一気に全国区へ。

現在も北陽は解散しておらず、2026年もプロダクション人力舎の所属コンビとして活動しています。

ゲーム発売時には後のテレビでの活躍を知らずにプレイしていた人も多かったはずです。

高峰隆士(増田雄一)

参考:出演情報

フランス外人部隊から日本へ戻ってきた高峰隆士。

増田雄一さんはその後もモデル・俳優として活動してきました。

184cmの長身を生かした広告やCM出演が多く、2025年にはミライスピーカーのCMへ出演。

派手に芸能ニュースへ登場するタイプではありませんが、『街』からかなり長い年月を経ても活動を確認できる出演者の一人です。

飛沢陽平(仲田健一)

参考:2022年本人インタビュー

女性関係に振り回される高校生・飛沢陽平。

仲田健一さんのその後は、主人公役の中でもかなり意外でした。

21歳のころにスカウトされ、44歳ごろまでモデルとして活動。スーツ広告、ブライダルショー、テレビなど幅広い仕事を経験しています。

その後は芸能界とは違う世界へ。

2022年の本人インタビューでは、大手生命保険会社の保険外交員として働いていることを明かしています。

転職を考えるきっかけになったのは、弟が脳腫瘍を患い、保険の重要性を身近で実感したことだったそう。

2026年現在も同じ仕事を続けているかまでは確認できませんでしたが、「陽平の人はどうなった?」という疑問には、かなり具体的な答えが残っていました。

脇役の「その後」のほうが面白い人もかなりいる

こうして一人ずつ追ってみると、むしろ面白かったのは主人公以外の出演者でした。

倉科亜美を演じた栗林知美さんは、女優・タレントとして活動した後、2001年に松尾伴内さんと結婚。

芸能界を離れて新潟へ移り、地元メディアではハーブの栽培や専門店を営む姿まで紹介されています。

片瀬ユキ役の雨宮朋絵さんは家族で香港へ移住し、帰国後には薬膳の勉強を開始。

山吹京一郎役の神威杏次さんは俳優だけでなく映画監督・脚本家・プロデューサーとなり、2026年にも自身の監督映画を劇場公開しています。

一方で、白ブタこと白田琢朗を演じた松山幸次さんは2015年、40歳という若さで亡くなっていました。

声優の世界へ目を向けると、ジェロニモ役の谷山紀章さん、小糸亜弓役の平松晶子さん、麻生しおり役のゆきのさつきさんはいずれも長く第一線で活動。

秋葉雄三役の並樹史朗さんや、飛沢周平役の国枝量平さんのように、今も普通に映画やドラマへ出演している人もいました。

有名になった人だけ追うより、「あの一瞬出てた人が今こうなってる」の方が妙に面白い。

『街』から10年後――『428 ~封鎖された渋谷で~』が発売された

ここでもう一本、触れずに通れないゲームがあります。

2008年に同じくチュンソフトから発売された『428 ~封鎖された渋谷で~』

舞台は『街』と同じ渋谷。

実写で撮影された複数の主人公を切り替え、ある人物の行動が別の人物の運命を左右していくという構造も、『街』を遊んだ人ならかなり見覚えのあるものです。

ただし『428』は、公式には『街2』という扱いではありません。

でも制作の経緯をたどると、両者の関係はかなり深い。

総監督のイシイジロウ氏は後年のインタビューで、セガとチュンソフトの共同プロジェクトが始まった際、企画候補のひとつとして「『街』に続く実写のサウンドノベル」があったことを明かしています。

実際に「街2」という案も検討されたものの、発売から約10年が経ち、そのまま続編を作るのは難しい。

そこで発想を切り替え、渋谷を舞台にした完全新作として生まれたのが『428』でした。

『428』は物語上の正式な『街2』ではありません。ただし「渋谷」「実写」「複数主人公」「ザッピング」という系譜を受け継ぎ、制作側自身も『街』の流れを汲む作品として企画したことを明かしています。その意味では『街』の精神的続編、実質的な後継作と考えるのが分かりやすい作品です。

しかも舞台となる時代も、『街』の1998年からちょうど10年後となる2008年。

『街』では、それぞれ別方向へ進んでいた主人公たちの人生が時折交差していました。

一方の『428』では、最初は無関係に見えた複数の物語が、時間が進むにつれてひとつの大きな事件へ集約されていきます。

同じ「渋谷を舞台にした群像劇」でも、構造はかなり違いますし、直接的には街とストーリーの繋がりはほぼありませんが、街をプレイした事がある方であれば思わずニヤリとするような小ネタも作品内にはちりばめられておりました。

『428』の主人公たち

『428』には複数の主人公が登場します。

  • 加納慎也(天野浩成)
  • 遠藤亜智(中村悠斗)
  • 御法川実(北上史欧)
  • 大沢賢治(小山卓治)
  • タマ

このうち、後に重要になってくるのが天野浩成さん、中村悠斗さん、北上史欧さん

なぜなら約18年後、この3人がもう一度「渋谷の実写アドベンチャー」に集まることになるからです。

『街』と『428』、二つの渋谷が『シブヤスクランブルストーリーズ』で交差する

そして2026年。

『街』と『428 ~封鎖された渋谷で~』、二つの実写アドベンチャーの流れを知っている人には、かなり気になる新作が動いています。

その名も『シブヤスクランブルストーリーズ』

『428 ~封鎖された渋谷で~』で総監督を務めたイシイジロウ氏が総監督を務める、渋谷を舞台とした新作実写アドベンチャーです。

公式には『街』や『428』の続編ではなく、独立した完全新作。

ただし、出演者を見るとその説明だけでは済ませたくなくなります。

『街』と『428』、両作品の主要キャストが同じ作品へ集まっているからです。

『街』からは松田優と窪塚洋介

2026年4月に発表されたメインキャストには、『街』で牛尾政美・馬部甚太郎を一人二役で演じた松田優さん

そしてサギ山勇を演じていた窪塚洋介さんの名前があります。

松田さんは馬場蛮役、窪塚さんは銀原ギン役。

1998年の『街』で渋谷を歩いていた出演者が、約30年後に再び実写ADVの主要人物として渋谷へ戻ってくることになりました。

『428』からは北上史欧・中村悠斗・天野浩成

一方、『428』側の顔ぶれもかなり濃い。

  • 御法川実役・北上史欧さん
  • 遠藤亜智役・中村悠斗さん
  • 加納慎也役・天野浩成さん

この3人が新たな役で『シブヤスクランブルストーリーズ』へ参加しています。

さらに『428』出演者からは、タマのスーツアクターを務めた隈本裕美さんをはじめ、過去作に関わった出演者の参加も確認されています。

つまり単に「昔の実写ゲームっぽい新作」ではなく、『街』と『428』を実際に演じた人たちが、別の役として新しい渋谷へ集まる作品になっています。

『シブヤスクランブルストーリーズ』は『街』『428』の正式な続編ではありません。それでも両作品のスタッフ・出演者が再集結しているため、過去2作を知っている人ほど意味の大きい企画になっています。

企画当初は雨宮桂馬役・あらい正和も参加予定だった

そしてもう一人。

『街』の主人公・雨宮桂馬を演じたあらい正和さんも、当初このプロジェクトへ参加していました。

しかも単なるゲスト出演という位置付けではありません。

あらいさんの所属事務所フォルツァが2026年8月に公開した説明によると、2025年3月に最初に提示された企画書には、あらい正和さんと『428』御法川実役の北上史欧さんを主演とする構想が記載されていたとしています。

『街』の主人公と『428』の主人公。

二つの作品を象徴する出演者を軸に、新たな実写ADVを作る。

初期段階では、まさに二作品をつなぐ象徴的な企画として動き始めていました。

ところが2026年6月、あらい正和が降板

ところが、そのあらいさんは2026年6月に『シブヤスクランブルストーリーズ』から降板することになりました。

しかも理由は単純なスケジュール都合ではありません。

当初の企画内容、主演の扱い、出演料や契約、制作側からの説明をめぐり、双方の認識が大きく食い違う騒動へ発展しました。

6月14日、あらいさん自身が降板を公表。

その翌日には説明を補足し、自分がプレイアブルキャラクターそのものから外されていたわけではないことを明らかにしています。

問題になったのは、その「主人公」の扱いでした。

あらい側「最初はあらい正和・北上史欧のダブル主演だった」

2026年8月1日、所属事務所フォルツァは『シブヤスクランブルストーリーズ』に関する事実関係の説明を公開しました。

そこでは、2025年3月20日にイシイジロウ氏から送られてきた企画書に、あらい正和さんと北上史欧さんを主演とする内容が記載されていたと説明。

フォルツァ側によれば、その内容で出演に合意し、ポスター撮影、イベント、クラウドファンディング関連の企画などにも参加してきたとしています。

しかし制作が進む中で、複数の主人公を並列に扱う構成へ変化。

さらに出演料や契約についても、当初説明された条件と後から提示された内容に差があったと主張しています。

制作側「ダブル主演はプロトタイプ段階。あらいも主演の一人だった」

一方、制作側の説明は異なります。

2026年6月23日に公開された電ファミニコゲーマーのインタビューで、総監督のイシイジロウ氏と脚本の北島行徳氏は、あらいさんと北上さんの二人を中心とした設定はプロトタイプ段階のものだったと説明しています。

本制作では複数のプレイアブルキャラクターによる群像劇となり、あらいさんについてもその主人公の一人として出演してもらう予定だった、というのが制作側の主張です。

さらに制作側は、あらいさん側から「あらい正和・北上史欧の二人を主演として、その下にほかのプレイアブルキャラクターを置く構成へ書き直してほしい」という要望があったものの、群像劇という作品の根幹が変わるため応じられなかったと説明しています。

出演料と契約でも双方の認識にズレ

もうひとつ大きな争点になったのが、出演料と契約です。

フォルツァ側は、企画初期から出演料について確認を求めていたものの、正式な金額や契約書の提示が遅れたと説明。

最終的に2026年3月、メインビジュアル撮影の直前になって提示された条件が当初の認識と異なっていたため、撮影への参加を見送ったとしています。

一方の制作側は、ゲーム本編の撮影規模や日数が確定しておらず、出演料を早期に確定できなかったと説明。

ただしイシイ氏自身もインタビュー内で、俳優側が契約や出演料を事前に明確にしてほしいと求めること自体は正当だと認めています。

結局どちらの説明が正しいのか

2026年9月現在、公開されている情報だけで「どちらが全面的に正しい」と断定することはできません。

ただし、少なくとも以下の点について双方の説明が食い違っています。

争点あらい・フォルツァ側制作側
当初の構想あらい正和・北上史欧のダブル主演として合意したダブル主演はプロトタイプ段階の設定だった
本制作の主人公複数主人公へ変わる十分な説明を受けていない本編は複数主人公になると説明していた
あらいの扱い当初合意した主演構成ではなくなった最後まで主演となるプレイアブルキャラクターの一人として想定していた
契約・出演料提示が遅く、当初の説明とも差があった撮影規模などが未確定で早期に確定できなかった
3月の撮影見送り条件や企画内容が不明確だったため撮影直前の見送りでキャスト発表を変更せざるを得なかった

その後、フォルツァ側は8月の声明で弁護士へ相談していることも明らかにしています。

一方、『シブヤスクランブルストーリーズ』そのものは制作が続けられています。

『街』と『428』の出演者が約30年、約18年の時を経て再び渋谷へ集まるという企画の中で、当初その橋渡し役になるはずだった雨宮桂馬役・あらい正和さんは最終的に参加しないことになりました。その経緯については、2026年9月現在も制作側とあらいさん側の説明に食い違いが残っています。

ゲームの中では5日間、現実では28年

『街』の本編で流れる時間は、10月11日から15日までのわずか5日間。

今ゲームを起動しても、雨宮桂馬も、飛沢陽平も、細井美子も、1990年代の渋谷であの日のまま動き続けています。

でも、それを演じた人たちには28年分の時間が流れました。

俳優を続けた人がいる。

芸人として全国区になった人がいる。

声優として有名になった人もいれば、映画を作る側へ回った人、芸能界を離れてまったく違う仕事へ進んだ人もいます。

すでに亡くなった人もいれば、ネットで調べてもその後を追えなくなった人もいました。

同じ街にいた人たちが、そこからそれぞれ別々の方向へ歩いていった。

出演者の28年後を追っていると、それ自体がどこか『街』の物語みたいに見えてきます。

そして、そのうち何人かの道は今、もう一度渋谷で交差し始めています。

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