富士山、ピラミッド、万里の長城、モン・サン=ミシェル。
世界遺産と聞けば、有名な場所はいくつも思い浮かぶ。
でも、ふと思った。
世界遺産って、世界中にいったいいくつあるんだ?
100個くらいなのか、500個くらいなのか。それとも、とんでもない数になっているのか。
気になったので調べてみた。
すると2026年9月現在、ユネスコの世界遺産は世界173か国に1,273件。
想像していたより、だいぶ多かった。
さすがに1,273件をこの記事に全部並べると世界遺産名鑑になってしまうので、今回は「世界遺産ってそもそもどんなもの?」「一番多い国は?」「逆に1件もない国は?」など、世界遺産の全体像を見ていこう。
答え|世界遺産は全部で1,273件ある

2026年7月に韓国・釜山で開かれた第48回世界遺産委員会で、新たに25件が世界遺産へ登録された。
その結果、2026年9月現在の世界遺産は1,273件。
| 項目 | 2026年9月現在 |
|---|---|
| 世界遺産の総数 | 1,273件 |
| 世界遺産がある国 | 173か国 |
| 文化遺産 | 991件 |
| 自然遺産 | 240件 |
| 複合遺産 | 42件 |
| 複数の国にまたがる世界遺産 | 51件 |
| 危機遺産 | 58件 |
| 世界遺産リストから削除された遺産 | 3件 |
一口に世界遺産と言っても、お城や遺跡だけではない。
森林や島、砂漠、珊瑚礁、工場、鉱山、道路、さらには核実験場まで入っている。
世界遺産の現在の一覧は、ユネスコ世界遺産センターの「World Heritage List」で確認できる。

1,273件。全部見て回ろうと思ったら人生の方が足りなそう。
そもそも何をしたら「世界遺産」になれるの?
世界的に有名なら世界遺産になれる、というわけではない。
ユネスコの世界遺産になるためには、まず「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」があると認められる必要がある。
ざっくり言えば、特定の国だけではなく、人類全体にとって残していく価値があるものということ。
さらにユネスコが定める10の登録基準のうち、少なくとも1つを満たし、保存状態や管理体制なども審査される。
詳しい基準はユネスコ「The Criteria for Selection」で公開されている。
そして世界遺産は、大きく3種類に分かれる。
| 種類 | どんなもの? | 例 |
|---|---|---|
| 文化遺産 | 建築物、遺跡、歴史都市、産業遺産など | 姫路城、万里の長城など |
| 自然遺産 | 地形、生態系、希少な動植物の生息地など | 屋久島、ガラパゴス諸島など |
| 複合遺産 | 文化と自然、両方の価値を持つもの | マチュ・ピチュなど |
現在は文化遺産が991件と圧倒的に多く、世界遺産全体の8割近くを占めている。
世界遺産が一番多い国はイタリア


では、世界遺産を一番たくさん持っている国はどこなのか。
2026年9月現在の1位はイタリア。
イタリアには62件もの世界遺産がある。
| 順位 | 国 | 世界遺産数 |
|---|---|---|
| 1位 | イタリア | 62件 |
| 2位 | 中国 | 61件 |
| 3位 | フランス | 56件 |
| 4位 | ドイツ | 55件 |
| 5位 | スペイン | 50件 |
イタリアと中国は、わずか1件差。
ローマ歴史地区、ヴェネツィア、ポンペイなどがあるイタリアが1位というのは何となく納得できるものの、中国も万里の長城、故宮、兵馬俑、九寨溝など文化遺産・自然遺産の両方がとにかく多い。
そして上位5か国のうち4か国がヨーロッパ。



イタリア、普通に街歩きしてるだけで世界遺産にぶつかりそう。
日本には世界遺産が27件ある
では日本はというと、2026年9月現在で27件。
内訳は文化遺産22件、自然遺産5件。
姫路城、古都京都の文化財、原爆ドーム、厳島神社、日光の社寺、富士山、屋久島、知床、小笠原諸島など、おなじみの場所が並ぶ。
そして2026年、新たに日本の27件目として登録されたのが「飛鳥・藤原の宮都」。
奈良県の飛鳥・藤原地域に残る宮殿跡や寺院跡、古墳など19の構成資産からなる文化遺産で、日本の古代国家形成を伝える遺跡群として世界遺産になった。
日本の現在の登録一覧はユネスコの日本ページで確認できる。
逆に、世界遺産が1件もない国もある


173か国に世界遺産があるなら、ほとんどの国にありそう。
ところが世界遺産条約には196の締約国があり、そのうち23か国には、まだ世界遺産が1件もない。
たとえば2026年9月現在、ジブチ、赤道ギニア、リベリア、モルディブなどは登録数0件。
「世界遺産が0件=見るものがない国」という意味ではない。世界遺産への登録には候補地の選定、調査、保全体制の整備、推薦書の作成など長い手続きが必要で、価値のある文化や自然があっても未登録の国はある。
実際、2026年にはコモロ、サントメ・プリンシペ、南スーダンの3か国に、それぞれ初めての世界遺産が誕生した。
前年までは「世界遺産0件の国」だったところが、翌年には世界遺産国になることもあるわけだ。
世界遺産第1号はどこ? 実は最初から12件あった
世界遺産条約が採択されたのは1972年。
では「世界で最初の世界遺産」はどこなのかと思って調べてみると、実は第1号が1件だけあるわけではなかった。
1978年、第2回世界遺産委員会で12件がまとめて最初の世界遺産として登録されている。
| 国 | 1978年に登録された世界遺産 |
|---|---|
| カナダ | ランス・オ・メドー国定史跡/ナハニ国立公園 |
| エクアドル | ガラパゴス諸島/キト市街 |
| エチオピア | シミエン国立公園/ラリベラの岩窟教会群 |
| ドイツ | アーヘン大聖堂 |
| ポーランド | クラクフ歴史地区/ヴィエリチカ岩塩坑 |
| セネガル | ゴレ島 |
| アメリカ | メサ・ヴェルデ国立公園/イエローストーン国立公園 |
ガラパゴス諸島やイエローストーン国立公園など、現在でも世界遺産の代表格として名前が出る場所が最古参メンバー。
最初の12件から始まって、約半世紀で1,273件まで増えたことになる。
2026年だけでも世界遺産は25件増えた
世界遺産は昔決めたリストがそのまま残っているものではなく、現在も毎年のように増えている。
2026年の第48回世界遺産委員会では、25件が新規登録された。
| 種類 | 2026年の新規登録 |
|---|---|
| 文化遺産 | 19件 |
| 自然遺産 | 5件 |
| 複合遺産 | 1件 |
| 合計 | 25件 |
日本の「飛鳥・藤原の宮都」のほか、インドのサールナート、フィンランドのアアルト作品群、中国・景徳鎮の磁器産業関連遺産、フランスのノルマンディー上陸作戦海岸などが新たに加わった。
南スーダンの「ボマ=バディンギロ移動景観」、コモロの歴史的スルタン国のメディナ、サントメ・プリンシペのロサスは、それぞれの国にとって初めての世界遺産。
2026年の新規登録一覧はユネスコ「New Inscribed Properties 2026」で見られる。
「これも世界遺産なの?」な変わり種もある


【挿絵4】指示:90年代日本のサブカル雑誌・コミック挿絵風。若い女性が旅行雑誌を読みながら、「世界遺産=お城や絶景」だと思っていたのに工場や鉱山などが載っていて意外そうな表情をしている場面。背景に古い工業施設を連想させる写真が数枚ある程度。写真や本をカメラへ正面向きに見せない。机周りはすっきり。文字・数字・ロゴなし。4:3横長。
世界遺産というと、古代遺跡やお城、大自然を想像しやすい。
でも1,273件もあると、なかなか変わったものも混ざっている。
ビキニ環礁核実験場
マーシャル諸島にある核実験場そのものが世界遺産になっている。
第二次世界大戦後、アメリカが1946年から1958年にかけてビキニ環礁で核実験を実施。冷戦と核時代の始まりを物語る場所として、2010年に文化遺産へ登録された。
ユネスコ「Bikini Atoll Nuclear Test Site」
ツォルフェライン炭鉱業遺産群
ドイツには巨大な炭鉱とコークス工場の跡が世界遺産として残されている。
19~20世紀のヨーロッパの重工業を伝える重要な産業遺産で、2001年に登録。
世界遺産だからといって、何千年前の建物である必要はない。
フライ・ベントスの産業景観
ウルグアイにあるこちらは、19世紀から発展した食肉加工工場を中心とする産業施設。
牛肉を加工し、缶詰や肉エキス、冷凍肉として世界へ輸出した一大産業の歴史を残す場所として、2015年に世界遺産になった。



食肉工場まで世界遺産。世界遺産の守備範囲、思ったより広い。
世界遺産は一度なったら永久、ではない
これも意外だった。
世界遺産は、登録されたあとでも取り消されることがある。
2026年9月現在、世界遺産リストから完全に削除された例は3件ある。
| 旧世界遺産 | 国 | 削除年 | 主な理由 |
|---|---|---|---|
| アラビアオリックスの保護区 | オマーン | 2007年 | 保護区域の大幅縮小など |
| ドレスデン・エルベ渓谷 | ドイツ | 2009年 | 景観に影響する橋の建設 |
| 海商都市リヴァプール | イギリス | 2021年 | 大規模開発による価値の不可逆的な損失 |
最初に削除されたのはオマーンの「アラビアオリックスの保護区」。オマーン政府が保護地域を約90%縮小したことなどから、2007年に登録を抹消された。
ドレスデンでは橋の建設、リヴァプールではウォーターフロントを中心とした大規模開発が問題になった。
つまり世界遺産は「認定されたから終わり」ではなく、その価値を残し続けることまでセットというわけだ。
さらに完全削除まで至らなくても、戦争、災害、開発、密猟、観光客の増加などによって危険にさらされている「危機遺産」が現在58件ある。
国境をまたいでいる世界遺産も51件ある
世界遺産は必ずしも「1つの国に1つ」という形ではない。
2026年9月現在、複数の国にまたがる「越境遺産・多国間遺産」は51件。
たとえばワッデン海は、オランダ・ドイツ・デンマークに広がる世界最大級の干潟。
ヨーロッパの大温泉保養都市群は、イギリスのバースやドイツのバーデン=バーデン、フランスのヴィシーなど、7か国11都市でひとつの世界遺産になっている。
さらに南米のカパック・ニャン――アンデスの道は、アルゼンチン、ボリビア、チリ、コロンビア、エクアドル、ペルーの6か国にまたがる。
国境よりずっと前から存在する自然や文化を守ろうとすると、こういう世界遺産も出てくる。
1,273件。さすがに全部紹介するには多すぎた
ということで「世界遺産っていくつあるんだ?」から始めて調べてみた結果、2026年9月現在は1,273件。
100件や200件どころではなかった。
世界遺産は現在1,273件。文化遺産991件、自然遺産240件、複合遺産42件が173か国にあり、今も毎年のように新しい遺産が追加されている。
今回は世界遺産そのものの入口編として全体を見たけれど、1,273件もあるなら地域ごとに見ていくだけでもかなり面白そう。
アジアには何があるのか。ヨーロッパは本当に世界遺産だらけなのか。アフリカや南米、オセアニアにはどんな変わった場所が残っているのか。
いずれ地域別にもまとめてみたい。
世界を丸ごと調べてみたシリーズでは、世界の通貨は全部で何種類あるのかや、世界の人たちは何を主食にしているのかも調べている。
さらに世界のお金事情が気になる人はこちら。




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