世界で一番お金持ちが多い国って、どこなんだろう。
なんとなくアメリカっぽい気もするし、石油王のイメージから中東の国が浮かぶ人もいるかもしれない。スイスやルクセンブルクなんかも「お金持ちの国」としてよく名前を聞く。
では反対に、世界で一番貧しい国はどこなのか。
気になったので、2026年時点で確認できるUBSや世界銀行のデータを使って調べてみた。
先に結論を言ってしまうと、「お金持ちの人数」ならアメリカが圧倒的な世界一。一方、1人あたりGDPで見るとブルンジが世界最低水準となっている。
ただし「お金持ちの国」は、何を基準にするかで1位が変わる。ここがなかなか面白いところ。
まず結論!世界一のお金持ちの国と貧しい国はこうなる
今回調べた結果を先にまとめると、こんな感じ。
| 比べ方 | 世界1位 | 主な数字 |
|---|---|---|
| 100万ドル以上の資産を持つ人の人数 | アメリカ | 約2,360万人 |
| 大人1人あたりの平均資産 | スイス | 約91万ドル |
| 大人1人あたりの資産中央値 | ルクセンブルク | 約39万4,000ドル |
| 1人あたりGDPが最も低い国 | ブルンジ | 約234ドル |
「お金持ちの国」とひとことで言っても、金持ちの人数・平均資産・一般的な人の資産では答えが全部違う。

世界一のお金持ち国家を決めようとしたら、いきなり3か国出てきた。
この記事では「お金持ちが多い国」は100万米ドル以上の資産を持つ人の人数、「貧しい国」は国同士を比較しやすい1人あたり名目GDPを基準に見ていく。
世界で一番お金持ちが多い国はアメリカ


UBSが2026年6月に発表した「Global Wealth Report 2026」によると、世界には約5,750万人の「ドルミリオネア」がいる。
ここでいうドルミリオネアとは、住宅や金融資産などから負債を差し引いた資産が100万米ドル以上ある人のこと。
その中でぶっちぎりなのがアメリカ。
アメリカだけで約2,360万人。世界のドルミリオネアのおよそ4割がアメリカにいる。
2位の中国は約530万人なので、かなりの差だ。
さらに2025年の1年間だけでも、アメリカでは44万人以上が新たにドルミリオネア入りした。単純計算すると1日1,200人ほどのペースになる。
世界最大級の株式市場を抱え、株や投資信託、不動産などを通じて個人が大きな資産を持つケースが多いアメリカ。人口そのものが多いこともあり、人数勝負になると圧倒的に強い。
UBSの最新データはUBS「Global Wealth Report 2026」で確認できる。
でもアメリカ人みんながお金持ちというわけではない
ここで面白い数字がある。
アメリカの大人1人あたりの平均資産は約69万6,000ドル。世界でもトップクラスだ。
ところが、ちょうど真ん中の人を見る「中央値」では約6万9,000ドルまで下がる。
平均と中央値で約10倍の差。
ものすごい資産を持つ人が多いため、「平均」を一気に押し上げているわけだ。
つまり「世界で一番お金持ちが多い国」と「普通の人までみんなお金持ちの国」は同じ意味ではない。
「お金持ち」といえばドバイのイメージだけど、アメリカなの?
「世界で一番お金持ちが多い」と聞いて、アメリカよりもドバイを思い浮かべた人もいるかもしれません。
高級ホテル、超高層ビル、スーパーカー、豪華なショッピングモール……。テレビやSNSで目にする光景だけを見ると、「世界のお金持ちはドバイに集まっている」という印象があります。



私も「金持ち=ドバイ」のイメージだった。
ただ、ここで比べているのは街の豪華さではなく、実際に暮らしている富裕層の人数。
この「人数」で比べると、ニューヨークやシリコンバレーなど巨大な富裕層人口を抱えるアメリカが圧倒的に強くなります。
一方、ドバイを含むUAEは、世界中の富裕層から移住先として選ばれている地域のひとつ。人口規模に対して富裕層の存在感が大きく、街そのものも「富」を前面に感じさせるため、私たちの印象に残りやすいわけです。
「お金持ちが一番多い場所」と「お金持ちっぽく見える場所」は、必ずしも同じではありません。
富裕層の総人数ならアメリカ。一方で、「世界中のお金持ちが集まる街」というイメージではドバイが非常に強い。この違いを知ると、ランキングと印象がズレて見える理由も分かりやすくなります。
「1人あたりのお金持ち度」で見るとスイスとルクセンブルクが強い


人数ではアメリカが圧勝だったが、「1人あたり」で見ると別の国が出てくる。
UBSの2026年版調査で、大人1人あたりの平均資産が世界で最も多かったのはスイス。
平均資産は91万382ドル。
アメリカの約69万6,000ドルを上回っている。
ところが「平均」ではなく、資産額順に並べてちょうど真ん中にいる人を見る中央値では、今度はルクセンブルクが1位になる。
ルクセンブルクの大人1人あたりの資産中央値は39万4,005ドル。
平均値は大富豪が何人かいるだけでもグンと上がる。中央値は超大金持ちが何人いてもあまり影響を受けないため、「その国の普通の人はどれくらい資産を持っているのか」を見るにはこちらの方が分かりやすい。



人数ならアメリカ、平均ならスイス、真ん中の人ならルクセンブルク。世界一が渋滞してる。
では世界で一番貧しい国はどこなのか?


反対に「世界で一番貧しい国」を調べる場合は、少し物差しを変える必要がある。
富裕層の人数を数えるようなデータではなく、国全体の経済規模を人口で割った1人あたりGDPで比べてみる。
世界銀行の2025年データを見ると、現在の米ドルで計算した1人あたりGDPが最も低い水準にあるのが、東アフリカのブルンジ。
ブルンジの1人あたりGDPは年間233.8ドル。
世界平均は約1万4,406ドル、日本は約3万5,951ドルなので、ブルンジは世界平均の約62分の1、日本と比べると約154分の1になる。
1人あたりGDPが233.8ドルだから「ブルンジ人の年収が233.8ドル」という意味ではない。GDPは国内で生み出されたモノやサービスの付加価値を人口で割った数字で、給料そのものではない。
ブルンジの人口は約1,439万人。国全体のGDPも約33.6億ドルと小さい。
世界銀行によると、2020年の調査では1日3ドル未満で生活する人の割合が74.2%。2026年に公表された世界銀行の経済見通しでも、貧困率は依然として約74%と高い水準にある。
最新データは世界銀行「Burundi Data」で確認できる。
なぜブルンジはこれほど経済規模が小さいのか
ブルンジはアフリカ大陸の内陸にある小さな国で、海に面していない。
そして世界銀行によると、労働人口の85%以上が農業に従事している。しかも、自分たちが食べるための作物を中心に育てる小規模な農業が多く、大きな産業へつながりにくい。
道路や電力などのインフラ不足、燃料不足、外貨不足、急速な人口増加なども経済成長の足かせになってきた。
さらに長年の政治的混乱や紛争の影響も大きい。
一方で、ずっと経済が縮小しているわけではない。2025年の実質GDPは約4%成長し、コーヒー輸出や鉱業、電力供給の改善などに成長の余地もある。
「世界最貧クラスの国」という一言だけでは、現在のブルンジの姿を全部説明できるわけではないのも面白いところだ。
「世界一貧しい国は南スーダン」と書かれていることもあるけど?
「世界で一番貧しい国」と検索すると、ブルンジではなく南スーダンが出てくることもある。
これは間違いというより、使っている統計や年度が違うため。
特に南スーダンは長年の紛争などもあり、国際機関でも毎年同じ条件の統計がそろっているわけではない。
世界銀行の南スーダンの国別ページでは、名目GDPと1人あたりGDPの最新値が2015年で止まっている。一方、IMFはその後についても推計値を出している。
そのため「世界銀行の最新実績値で比較」「IMFの推計値で比較」「購買力平価で比較」など、ランキングの作り方によって最下位が変わることがある。
この記事では条件をそろえるため、世界銀行で2025年の1人あたり名目GDPを確認できる国を基準にして、ブルンジを世界最低水準の国としている。
ちなみに日本は世界の中でどのくらい?


ここまで世界一ばかり見てきたが、日本はどうなのか。
UBSの2026年版調査では、日本の大人1人あたりの平均資産は21万1,846ドル、中央値は13万5,745ドル。
平均資産ではスイスやアメリカにかなり差を付けられているものの、中央値では世界でも比較的上位に位置する。
世界銀行による2025年の日本の1人あたりGDPは3万5,951ドル。
「最近の日本は貧しくなった」と言われることも多いが、世界全体まで視野を広げると、依然としてかなり豊かな国のグループにいることが分かる。
日本の最新データは世界銀行「Japan Data」で確認できる。
結局「世界で一番お金持ちの国」はどこなのか
調べてみると、「世界一のお金持ち国家」という質問には意外と答えがひとつではなかった。
お金持ちの人数が世界一 → アメリカ
1人あたり平均資産が世界一 → スイス
資産中央値が世界一 → ルクセンブルク
1人あたりGDPが世界最低水準 → ブルンジ
「アメリカは金持ちが多い」は確かにその通り。ただ、その数字だけでは国民全体の暮らしぶりまでは分からない。
逆に「1人あたりGDPが世界最低だから、その国の人全員が年間200ドル程度で暮らしている」という理解も違う。
同じ「国のお金」の話でも、人数を見るのか、平均を見るのか、真ん中を見るのか、経済全体を見るのかで景色はかなり変わる。
何となく「アメリカかな?」で始めた疑問だったが、調べてみたらアメリカ、スイス、ルクセンブルクと、世界一が3つに分かれる結果になった。

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