世界のみんな、何食って生きてる? 米の国・パンの国・芋の国を調べてみた

日本人の主食といえば、やっぱりお米。

ではフランスならパン、イタリアならパスタ、メキシコならトルティーヤ……と考えていくと、ちょっと気になってくる。

世界の人たちは、いったい何を主食にして暮らしているんだろう。

お米を毎日食べる国もあれば、パンの国、トウモロコシの国、さらには芋やバナナが「ごはん」のポジションにいる国まである。

そこで2026年9月現在、FAO(国連食糧農業機関)の資料などを参考に、世界の主食をざっくり分類してみた。

調べてみると、世界の食卓は思った以上に米・小麦・トウモロコシに支配されている。

目次

世界の主食、だいたいこの5グループに分かれる

FAOでは「主食」を、日常的に大量に食べられ、食事の中心となってエネルギーや栄養の大きな部分を供給する食品として説明している。

世界には5万種類以上の食べられる植物があるのに、実際の人類の食事を支えている植物はかなり少ない。

米・トウモロコシ・小麦の3つだけで、世界の食物エネルギー摂取量の約60%を占める。

世界の食卓をものすごく大ざっぱに分けるなら、こんな感じ。

タイプ代表的な主食多く見られる地域
米の国東アジア、東南アジア、南アジアの一部
小麦の国パン、ナン、パスタ、麺、クスクスヨーロッパ、中東、北アフリカ、中央アジア
トウモロコシの国トルティーヤ、ウガリ、シマ、ンシマなど中米、東・南部アフリカ
芋・バナナの国キャッサバ、ヤム、タロイモ、サツマイモ、料理用バナナ中部アフリカ、太平洋の島々など
雑穀・その他の国テフ、ソルガム、ミレットなど東アフリカ、サヘル地域など

もちろん国境を越えた瞬間に主食がパキッと切り替わるわけではない。

中国やインドのように、同じ国の中でも地域によって主食が全然違う国もある。そのあたりも含めて見ていこう。

ちなみに世界のお金事情が気になる人はこちら。→ 世界のお金、全部見せて! 世界の通貨は何種類あるのか調べてみた【2026年版】

米の国|やっぱりアジアが圧倒的

日本人に最も馴染みのある「米の国」。

特に東アジアから東南アジアにかけては、世界でもっとも強烈な米文化圏が広がっている。

FAOによると、バングラデシュ、ラオス、ベトナム、ミャンマー、カンボジアでは、米だけで1人あたりの食事エネルギーの50%以上を供給するほど。

国・地域主食として目立つもの代表的な食べ方
日本ご飯、おにぎり、寿司
韓国ご飯、ビビンバ、クッパ
中国南部ご飯、粥、米粉
台湾ご飯、魯肉飯、粥
ベトナムご飯、フォー、ブン
タイジャスミンライス、もち米
カンボジアご飯、粥、米麺
ラオスもち米カオニャオ
ミャンマーご飯、米麺
インドネシアナシ、ナシゴレン
フィリピンご飯
バングラデシュご飯+カレーや魚
スリランカライス&カレー

東南アジアでは、米は単に茶碗によそうだけではない。

米を粉にして麺にしたり、もち米として蒸したり、粥にしたりと姿を変えながら食卓の中心に居続けている。

面白いのがラオス。普通の白米よりももち米のカオニャオが日常食として強い。

一方、中国やインドは「米の国」とひとまとめにするのが難しい巨大国家。中国南部では米が強いが、北部では小麦。インドも南部・東部は米、北部では小麦が目立つ。

FAOの米消費資料でも、東南アジアでは米への依存度が特に高いことが確認できる。FAO「Rice consumption in major rice consuming countries」

パンの国……というより「小麦の国」

日本から見ると「ヨーロッパ=パンの国」というイメージが強い。

でも世界全体で見るなら、パンの国というより「小麦の国」と呼んだ方が正確

同じ小麦でも、フランスではパン、イタリアではパンやパスタ、中東では平たいパン、北アフリカではパンやクスクス、中国北部では麺や饅頭になる。

原料はだいたい小麦なのに、国をまたぐと姿が変わりすぎ。

国・地域主食として目立つもの代表的な食べ方
フランス小麦パン
ドイツ小麦・ライ麦パン
イタリア小麦パン、パスタ
スペイン小麦パン
イギリス小麦パン
ロシア小麦・ライ麦パン、麺類
トルコ小麦パン
エジプト小麦アエーシ
モロッコ小麦パン、クスクス
アルジェリア小麦パン、クスクス
イラン小麦・米ナン、ご飯
カザフスタン小麦パン、麺
ウズベキスタン小麦・米ノン、プロフ
中国北部小麦麺、饅頭、餃子
インド北部小麦チャパティ、ロティ、ナン

小麦はかなり強い。

FAOによると、小麦は約8000年にわたりヨーロッパ、西アジア、北アフリカの主要文明を支えてきた基本的な主食。

現在でも世界人口のおよそ3分の1にとって主要な主食のひとつとされている。

詳しくはFAO「Wheat in the world」で確認できる。

トウモロコシの国|メキシコだけじゃない

【挿絵4】指示:90年代日本の雑誌・コミック挿絵風。中米またはアフリカの家庭で、トウモロコシ粉から作った主食を家族が普通に食べている日常風景。トウモロコシそのものを説明用にカメラへ向けない。食卓は料理2~3品程度で簡素に。明るく普通の家庭の雰囲気。文字・ロゴなし。4:3横長。

トウモロコシと聞くと、日本では焼きトウモロコシやコーンスープなど「野菜っぽい存在」を想像しがち。

ところが世界には、トウモロコシを米やパンと同じポジションで食べている地域がかなりある。

国・地域代表的な主食食べ方
メキシコトウモロコシトルティーヤ、タマレス
グアテマラトウモロコシトルティーヤ
ホンジュラストウモロコシトルティーヤ
エルサルバドルトウモロコシトルティーヤ、ププサ
ケニアトウモロコシウガリ
タンザニアトウモロコシウガリ
ザンビアトウモロコシンシマ
ジンバブエトウモロコシサザ
マラウイトウモロコシンシマ
南アフリカトウモロコシパップ

中米ではトウモロコシを石灰水などで処理して生地にし、トルティーヤとして食べる文化が非常に古くから続いている。

そしてアフリカへ行くと、トウモロコシ粉を水で練って作る白い餅のような料理が登場する。

ケニアやタンザニアならウガリ、ザンビアやマラウイではンシマ、ジンバブエではサザ、南アフリカではパップ。

名前は違うけれど、日本人にとっての「白いご飯」にかなり近い立ち位置。

芋の国|キャッサバ、ヤム、タロイモ。さらに主食がバナナの国も

日本人の感覚からすると全く馴染みが無いかもしれないが、実は世界で10億人以上が、じゃがいも、キャッサバ、ヤム、タロイモなどの根や地下茎の作物を重要な主食としている。

特にサハラ以南のアフリカでは存在感が大きい。

国・地域主食として目立つもの特徴
コンゴ民主共和国キャッサバ根も葉も食べる
アンゴラキャッサバ粉やペーストでも利用
モザンビークキャッサバ重要な炭水化物源
ガーナキャッサバ、ヤム、料理用バナナフフなど
ナイジェリアヤム、キャッサバフフ、ガリなど
ルワンダ芋類、料理用バナナ地域により豆・穀物も多い
ウガンダ料理用バナナマトケ
ソロモン諸島タロイモ、ヤム、サツマイモなど根菜類が伝統的主食
トンガタロイモ、ヤムなど根菜類が伝統的主食
バヌアツタロイモ、ヤム、キャッサバなど根菜類が伝統的主食
クック諸島タロイモ重要なでんぷん質主食

コンゴ民主共和国では、キャッサバがほぼ全土で食べられている。FAO資料では約70%の人々の食生活に重要な位置を占める主食とされている。

太平洋の島々でも、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツなどではタロイモ、ヤム、キャッサバ、サツマイモといった根菜が伝統的な主食。

さらに面白いのがウガンダ。

青い料理用バナナを蒸した「マトケ」が主食のひとつ。

バナナがデザートじゃなくて白メシ側にいる世界。

料理用バナナは日本で一般的な甘いバナナとは違い、熟す前の実を加熱して食べる。FAOでもウガンダでは料理用バナナが主食として紹介されている。

参考:FAO「Roots, tubers, plantains and bananas in human nutrition」

米でもパンでも芋でもない。「その他」の主食も面白い

世界の主食はこの4種類だけでは終わらない。

乾燥した地域や高地など、その土地の環境に適応した穀物が何千年も食べ続けられている場所もある。

エチオピア・エリトリア|テフ

かなり個性的なのがエチオピアとエリトリア。

この地域ではテフという非常に粒の小さな穀物が重要な主食になっている。

テフの粉を発酵させて焼いた、薄くて大きなパンのような「インジェラ」が有名。

FAOもテフをエチオピアとエリトリアで栽培される主要な主食作物として紹介している。

サヘル地域|ミレットとソルガム

ニジェール、マリ、ブルキナファソ、チャドなど、サハラ砂漠の南側に広がる乾燥地域ではミレット(キビ類)やソルガム(モロコシ)が重要。

米や小麦より乾燥に強いため、雨の少ない地域でも育てやすい。

粉にして粥にしたり、団子状にしたり、クスクスのように調理したりして食べられる。

アフリカには「フォニオ」なんて穀物もある

西アフリカにはフォニオという非常に小さな粒の穀物もある。

マリ、ギニア、セネガル、ブルキナファソ、ベナン、トーゴ、ナイジェリアなどで古くから栽培され、粥やクスクスのような料理に使われてきた。

世界のスーパーではほとんど見かけないが、その土地では何千年も食べられている穀物がまだまだ存在する。

実は「国ごとに主食を1個決める」のはかなり難しい

ここまで「米の国」「小麦の国」と分けてきたけれど、現実の食卓はそんなに単純じゃない。

特に人口が多く国土の広い国は、地域による差が大きい。

地域による違い
中国南部は米が強く、北部は小麦の麺・饅頭・餃子などが目立つ
インド北部は小麦、南部・東部は米が強い
ナイジェリアヤム、キャッサバ、米、トウモロコシなど複数の主食が共存
エチオピアテフだけでなく、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガムなども重要
インドネシア米が中心だが、地域によってサゴ、トウモロコシ、キャッサバなども伝統的に食べられる

さらに都市化や輸入食品の普及によって、昔からの主食が変わりつつある国もある。

太平洋の島々では伝統的にはタロイモやヤムが中心だったものの、輸入された米や小麦粉の消費が増えている地域もある。

つまり「日本=米」「フランス=パン」くらいのイメージで世界を全部分類しようとすると、途中からかなり無理が出てくる。

なぜ国によって主食がこんなに違うのか

大きいのはやっぱり気候と土地

水が豊富で温暖なアジアでは米。乾燥した西アジアや北アフリカでは小麦。中米ではトウモロコシ。熱帯アフリカでは乾燥や痩せた土地にも比較的強いキャッサバ。

その土地で安定して大量に育つ作物が、何百年・何千年とかけて「毎日食べるもの」になっていった。

FAOも、主食作物はその地域の気候や土壌などの条件に適応している場合が多いと説明している。

そして経済状況とも無関係ではない。穀物や芋などのでんぷん質の主食は、比較的安価に多くのカロリーを取れるため、所得が低い国ほど食事全体に占める割合が高くなる傾向がある。

Our World in Dataでは、比較的所得の低い国では総摂取カロリーの3分の2~4分の3近くを穀物・根菜などの主食から得るケースがある一方、豊かな国では約3分の1程度まで下がる傾向が示されている。

世界の豊かさそのものが気になったらこちら。→ 金持ちだらけの国、貧乏すぎる国。世界の「お金の差」を調べてみた

まとめ|世界の主食を並べると、その土地の気候まで見えてくる

世界の主食を調べてみると、一番大きな勢力はやっぱり米・小麦・トウモロコシ

ただ、その3つだけで世界の食卓ができているわけではない。

コンゴ民主共和国ではキャッサバ、ウガンダでは料理用バナナ、太平洋の島ではタロイモやヤム、エチオピアではテフ。

日本でスーパーに行けば「ちょっと珍しい食材」の棚に置かれそうなものが、別の国では毎日食べる白メシのポジションにいる。

世界の主食は大きく見ると「米」「小麦」「トウモロコシ」「芋・根菜・料理用バナナ」「雑穀」の5系統。しかも同じ国でも地域によって主食が違うことは珍しくない。

何を食べているかを見るだけで、その国の気候や農業、歴史までなんとなく見えてくる。

世界地図を「国境」ではなく「何を主食にしているか」で色分けしたら、かなり面白い地図になりそうだ。

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