一時期、YouTubeを見ているとやたら流れてきた「漫画仕立ての長い広告」。
恋人に浮気される。太っていることをバカにされる。会社や学校で見下される。そこからストーリーが始まり、しばらく普通の漫画として進んでいく。
ところが途中で、やたらスタイルのいい友人や同僚が登場。
「私も昔は太ってたんだけど、これを飲み始めて……」
そして最終的には、ダイエットサプリや美容商品などのPRだったことが判明する。

途中まで普通に漫画として見ちゃって、「結局サプリかい」となった人、かなり多い気がする。
ところが最近、このタイプの広告をほとんど見かけなくなった。
もしかしてYouTubeで規制されたのか? 気になったので、Googleの広告ポリシーや消費者庁の資料、最近の動画広告事情まで調べてみた。
結論:漫画広告そのものが禁止されたわけではない
先に結論から。
YouTubeの「漫画広告」そのものが禁止された事実は確認できなかった。ただし、昔のダイエット系漫画広告でよく使われていた表現の多くは、現在のGoogle広告ポリシーではかなり扱いにくい。
つまり、漫画だから消えたというより、「漫画広告でよく使われていた売り方」が厳しくなったと考えた方が近い。
| 考えられる原因 | 可能性 | 内容 |
|---|---|---|
| YouTubeが漫画広告を全面禁止 | 低い | そのような規定は確認できない |
| 誇大なダイエット表現への規制 | 高い | 非現実的な減量や誤解を招く表現はGoogleが禁止 |
| 健康食品広告への監視強化 | 高い | 消費者庁がネット広告を継続的に監視 |
| 広告クリエイティブの流行変化 | 高い | 長い漫画広告から縦型ショート・UGC風動画へ移行 |
そもそも、あの胡散臭い漫画広告は何だったのか?


このタイプの広告は、商品をいきなり紹介するのではなく、まず漫画のストーリーで視聴者を引き込む形式だった。
たとえば「恋人に振られる」「浮気される」「太っていることを笑われる」といった強い出来事から始まり、主人公が悩んでいるところへ商品が登場する。
その後は商品を使った主人公が変身。痩せる、モテる、元恋人を見返す、仕事までうまくいく……という分かりやすい逆転劇につながる。
広告をクリックした先には、商品を直接販売するページだけでなく、体験談や漫画をさらに読ませてから購入ページへ誘導する「記事LP」が置かれるケースもある。
要するに、商品説明を広告として見せるのではなく、「続きが気になる漫画」を入口にして最後まで商品説明を読ませる手法だった。
理由1:昔の「お約束」がGoogle広告ではかなり危ない
まず大きいのがGoogle側の広告ポリシー。
Googleは現在、広告の「信頼できない文言」に関するポリシーで、健康や減量について現実味のない効果を示す広告を禁止している。
「ほとんど何もしないのに激痩せ」はNG
Googleが具体例として挙げているのが、「好きなものを食べながら1か月以内に大幅に痩せる」といった広告。
昔の漫画広告でよく見かけた、
- 普通に食べているのに痩せた
- 運動していないのに短期間で激変した
- これを飲んだだけで体型が変わった
- 誰でも同じ結果になるように見せる
といった展開は、現在のルールと非常に相性が悪い。
劇的なビフォーアフターも引っかかる
さらにYouTubeおよびDiscoverフィードの広告要件では、「非現実的な自己変革の保証」や「誤解を与えるビフォーアフター画像」が禁止対象として明記されている。
昔の漫画広告はまさに、太った主人公と激痩せした主人公を並べて人生まで180度変わったように描くのがお約束だった。
商品そのものではなく、あの漫画広告を成立させていた「劇的な変身」が使いづらくなっている。
ダイエット広告自体が禁止されたわけではない。Googleも、減量に関する広告について、画像などが不快・誤解を招くものでなければ掲載可能としている。
理由2:日本でも健康食品のネット広告はずっと監視されている
YouTubeだけの問題でもない。
日本では消費者庁が、健康食品などについてインターネット上の虚偽・誇大表示を継続的に監視している。
消費者庁の「健康増進法(誇大表示の禁止)」ページを見ると、健康食品のネット広告に対する改善指導が四半期ごとに公表されており、2026年現在も続いている。
2026年4~6月についても、インターネット上の健康食品等の虚偽・誇大表示に対する改善指導が公表された。
また、2025年には機能性表示食品「メラット」をめぐり、販売会社に景品表示法に基づく課徴金納付命令も出ている。
こうした環境では、広告主側にとってもギリギリの表現で大量に広告を回すメリットより、審査や行政対応のリスクの方が大きくなりやすい。



漫画の中なら何を言ってもフィクション、とはならないわけですね。
ステマ規制も関係ある?
2023年10月1日からは、広告であることを隠したステルスマーケティングも景品表示法の規制対象になった。
ただし、これはYouTubeの漫画広告が消えた直接の理由とは言いにくい。
YouTube上で最初から「広告」として配信されている動画であれば、それ自体をステルスマーケティングと考えるのは違う。
一方で、広告から移動した先の記事LP、SNSの口コミ風投稿、第三者の体験談風コンテンツなどを組み合わせる場合は、以前より広告であることを明確にする必要がある。
そのため、ステルスマーケティング規制も、健康・美容系のアフィリエイト広告全体を以前より慎重にさせた要因のひとつとは考えられる。
理由3:そもそも広告の流行が「漫画」から変わった
もうひとつ大きそうなのが、単純に広告の流行そのものが変わったこと。
YouTube Shorts、TikTok、Instagram Reelsが普及したことで、現在はスマホの縦画面で短時間に見せる広告が非常に増えている。
Google自身もYouTubeショート広告のベストプラクティスで、縦型動画、短い動画、通常のSNS投稿になじむ「ソーシャルファースト」な広告、クリエイター素材の活用を推奨している。
その結果、以前のような数分かけて漫画を読ませる広告より、
- 一般人がスマホで撮ったように見えるUGC風広告
- 商品の使用感を話す短い自撮り動画
- 15~30秒程度のショートドラマ
- TikTokやShortsの通常投稿に紛れる縦型動画
といった形式へ広告費が移りやすくなった。
漫画という手法が禁止されたのではなく、「長い漫画を最後まで見せる」という勝ちパターン自体が古くなってきたという面もありそうだ。
じゃあ、あの漫画広告は完全に絶滅したの?
完全に消えたわけではない。
2025年にもYouTube向け漫画広告の制作サービスや解説記事は存在しており、漫画を広告に使う手法そのものは現在も残っている。
ただ、以前のような「太っている主人公がバカにされる → 謎のサプリを飲む → 短期間で激痩せ → モテモテになって見返す」というテンプレは、現在の広告ルールではかなりやりにくい。
さらに広告はユーザーごとに配信内容が異なるため、自分のYouTubeから完全に消えたからといって、世界中で一切配信されていないとも限らない。
まとめ:規制だけではなく「胡散臭い漫画広告の賞味期限が切れた」
調べてみると、YouTubeがある日突然「漫画広告禁止」としたわけではなかった。
むしろ、
- Googleが非現実的な減量表現や誤解を招くビフォーアフターを禁止している
- 日本でも健康食品の誇大広告が継続的に監視されている
- 広告の主戦場が縦型ショート動画へ移った
- UGC風や自撮り風など、別の広告フォーマットが増えた
といった変化が重なった結果と考えるのが自然。
あれだけ頻繁に流れていたものが、数年後にはほとんど見かけなくなる。
ネット広告の流行は、思っている以上に入れ替わりが激しいらしい。
ちなみに無くなったら無くなったで、あのウザい広告久々に見たくなったなんて方もちょくちょくいらっしゃるようで、そんな方の為にあの広告をまとめた再生リストが投稿されてたので最後に紹介しておく。
Youtube漫画広告集(プレイリストリンク)


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