「餃子の王将」と「大阪王将」。
名前も似ている。どちらも餃子が看板メニュー。となれば、同じ系列か兄弟会社だと思ってしまいます。
スーパーにも「ベルク」と「ベルクス」があるし、とんかつ店には「和幸」と「いなば和幸」。BOOKOFFの近くでHARD OFFを見かければ、これも当然同じ会社に見える。
でも、実際の関係はどうなっているのでしょうか。
気になって運営会社だけでなく、各社の沿革までたどってみると、名前が似ている理由は驚くほどバラバラでした。
昔は同じだった店。暖簾分けから始まった店。別会社なのにわざと似せた店。たまたま似ただけの店。さらには、まったく別会社なのに会社名そのものが同じという例まであります。
まず一覧|似た店名でも関係性はこんなに違う
| 店名 | 現在の関係 | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| 餃子の王将/大阪王将 | 別会社 | 大阪王将は暖簾分けがルーツ |
| 551蓬莱/蓬莱本館 | 別会社 | もともとは同じ「蓬莱」 |
| とんかつ和幸/いなば和幸 | 別会社 | 歴史的には「和幸」が3系統存在 |
| ほっかほっか亭/ほっともっと | 別会社 | ほっかほっか亭からプレナスが離脱 |
| BOOKOFF/HARD OFF | 別会社 | 創業者同士の縁で意図的に似せた |
| ベルク/ベルクス | 別会社 | それぞれ別のスーパーとして発展 |
| しゃぶ葉/しゃぶ菜 | 別会社 | 名前も業態も似ているが別系列 |
| からやま/から好し | 別会社 | 似ていることを巡って実際に訴訟 |
| ナフコ/ナフコ不二屋 | 別会社 | ホームセンターと食品スーパー |
| ジョイフル/ジョイフル本田 | 別会社 | ファミレスとホームセンター |
| 紀ノ国屋/紀伊國屋書店 | 別会社 | スーパーと書店、歴史も別 |
| しまむら/しまむらストアー | 別会社 | 会社名まで同じ「株式会社しまむら」 |
| タイヨー/タイヨー | 別会社 | 会社名も業種も同じスーパー |
| マルイ/マルイ | 別会社 | しかも両者とも1931年2月創業 |
| フジ/FUJI | 別会社 | 中国・四国系と神奈川・東京系 |
| ウエルシア/ウェルパーク | 現在は同グループ | 昔は別系列、2024年から同じグループ |

似ている理由が全部違う。これは会社概要を見始めると止まらないやつ。
実はルーツがつながっているチェーン
まずは
「今は別会社だけれど、歴史をさかのぼるとちゃんとつながっていた」
という組み合わせから。
餃子の王将と大阪王将|今は無関係、でも大阪王将は暖簾分けから始まった
一番有名なのは、やはり「餃子の王将」と「大阪王将」でしょう。
現在の餃子の王将を運営するのは株式会社王将フードサービス。一方、大阪王将はイートアンドグループのブランドです。
餃子の王将側も公式サイトで、大阪王将とは資本関係も業務提携関係もないと明記しています。
ところが、歴史をさかのぼれば無関係ではありません。
大阪王将の創業者・文野新造氏は、親戚が経営していた餃子の王将で修業した後、1969年に暖簾分けを受けて大阪・京橋で店を開きました。
つまり現在の関係を一言で表すなら、「ルーツはつながっているが、現在は完全に別会社」。
似た名前が偶然ぶつかったわけではなかったのです。



餃子の王将公式HPのお問い合わせページには大阪王将とは全く無関係であることが明記されています、ごっちゃになって問い合わせてくる客が多くて若干辟易してるんでしょうね。


さらに鹿児島県には、鹿児島王将株式会社が運営する「鹿児島 餃子の王将」も存在します。全国の王将フードサービスとは運営会社が異なり、鹿児島県内で独自に店舗を展開しています。王将だけでも、なかなか一筋縄ではいきません。
551蓬莱と蓬莱本館|1964年に同じ会社から分かれた
大阪でもうひとつ紛らわしいのが「551蓬莱」と「蓬莱本館」。
これは両社の公式サイトがかなり分かりやすく説明しています。
もともとは1947年に法人化された「株式会社蓬莱」というひとつの会社でした。
その後1964年、創業者3人がそれぞれ分社独立し、551蓬莱、蓬莱本館、蓬莱別館という別会社に分かれます。
そのため現在も同じ「蓬莱」を名乗っているものの、551蓬莱と蓬莱本館は完全な別会社。商品の製法や味、販売形態も異なります。
こちらは「昔は本当に同じ会社だった」という非常に分かりやすいパターン。


とんかつ和幸といなば和幸|実は歴史的には「和幸」が3系統あった
今回あらためて調べて、想像以上に複雑だったのが「和幸」です。
全国でよく見かける「とんかつ和幸」を展開するのは和幸商事株式会社。
一方の「とんかつ いなば和幸」を展開するのは、東京都板橋区に本社を置く和幸株式会社。
この時点ですでに別会社ですが、話はここで終わりません。
過去の裁判資料を見ると、和幸商事株式会社の「とんかつ和幸」、協和株式会社の「とんかつ和幸」、和幸株式会社の「とんかついなば和幸」という、3つの「和幸」系とんかつ店が別会社として存在していたことが確認できます。
しかも、この3者は昔からまったく無関係だったわけでもありません。
和幸商事の公式サイトによると、「和幸」という名前自体、創業者の日比生一虎氏のペンネーム「日比生和雄」の「和」と、当時親交のあった協和株式会社・名和幸夫氏の「幸」を組み合わせて付けられたもの。
裁判資料でも3者について、もともと人的・経営的に緊密な関係があったとされています。
その後、それぞれの店舗数が増えるにつれて競争関係が強まり、「和幸」をめぐる商標問題まで発生しました。
和幸商事自身が公式サイトで「同じ和幸なのにロゴやメニュー、価格が違う」という問い合わせがあると説明しているほどなので、混乱するのは利用者だけの問題ではなさそうです。


ほっかほっか亭とほっともっと|元ほっかほっか亭が独立して誕生
弁当チェーンの「ほっかほっか亭」と「ほっともっと」も、たまたま「ほっと」が似たわけではありません。
ほっともっとを運営するプレナスは、もともと「ほっかほっか亭」の有力な地域本部でした。
プレナスの沿革を見ると、1980年に「ほっかほっか亭九州地域本部」を設立。九州を皮切りにほっかほっか亭を大規模に展開していきます。
しかし、ほっかほっか亭総本部との関係が悪化。プレナスはフランチャイズ契約を解消し、2008年5月に新ブランド「Hotto Motto(ほっともっと)」を立ち上げました。
当時プレナス傘下にあった多数のほっかほっか亭が、一斉にほっともっとへ看板を替えています。
つまりこれは、「似ている2社」ではなく、同じチェーンにいた企業が分かれて競合ブランドになった例です。


出典:プレナスについて



王将、蓬莱、和幸、ほっともっと。似ている店名にはちゃんと昔話があった。
別会社だけど「似ているのは偶然じゃない」ケースもある
ここからはさらに変化球。
別会社なのに、似ていること自体にはちゃんと理由があるチェーンです。
BOOKOFFとHARD OFF|別会社なのに名前もロゴも意図的に合わせた
BOOKOFFとHARD OFFは、知らなければ同じグループだと思ってしまいます。
「○○OFF」という名前だけでなく、ロゴの形までよく似ています。
しかし運営会社は別。
BOOKOFFとHARD OFFはそれぞれ独立した会社ですが、両社の創業者には以前から交流がありました。
ハードオフ創業者・山本善政氏は、もともと新業態を「HARD ON」とすることまで考えていましたが、先にスタートしていたBOOKOFFとの組み合わせを考え「HARD OFF」に変更。
ロゴや色使いについても、BOOKOFFとの組み合わせを意識して合わせたことを本人が語っています。
つまり、似ているのは完全に意図的。
しかも現在もハードオフコーポレーションはBOOKOFF店舗をフランチャイズとして運営しており、実際にHARD OFFとBOOKOFFが同じ敷地や建物に入る店舗もあります。
「別会社だけど兄弟っぽく見えるように始めた」という、かなり珍しい関係です。


からやまとから好し|似ていることを巡って本当に裁判になった
から揚げ専門店の「からやま」と「から好し」。
こちらは単にネットで「似てるよね」と言われただけではありません。
からやまを展開するアークランドサービスホールディングスは2017年、すかいらーくが展開を始めた「からよし」「から好し」について、営業表示などが「からやま」と誤解を与えかねないとして法的措置を取りました。
当時の公表資料では、から揚げ専門のイートイン業態や店舗表示などについて、模倣されたと主張しています。
その後、すかいらーく側は表記を現在の「から好し」へ変更し、両社は和解。
「似ているチェーン店」を調べる記事としては、実際に類似性が裁判の争点になった珍しい例です。
現在も、からやまはアークランドサービス系、から好しはすかいらーく系の別ブランドとして営業しています。
名前も業態も似ているのに、基本的には別会社
次は「何かありそう」と思って調べても、会社沿革を見る限りそれぞれ別々に育ってきたチェーン。
ベルクとベルクス|スーパー同士で一文字違い
関東のスーパーで特に紛らわしいのが「ベルク」と「ベルクス」。
ベルクスはベルクの複数形なのでは、とさえ思えてきますが、運営会社は別です。
ベルクは1959年、埼玉県秩父市の「主婦の店秩父店」からスタート。1983年に「主婦の店ベルク」、1992年に現在の「株式会社ベルク」へ商号を変更しました。
一方のベルクスを展開するサンベルクスは、1968年に東京都足立区の団地内で始めた青果専門店がルーツ。1995年に社名を株式会社サンベルクスへ変更し、店舗名もスーパーベルクスとなっています。
同じ関東。同じ食品スーパー。「ベルク」と「ベルクス」。
それでも沿革をたどると出発地点から別々です。
しゃぶ葉としゃぶ菜|名前だけでなく「しゃぶしゃぶ食べ放題」まで同じ
「しゃぶ葉」と「しゃぶ菜」も、初見ではかなり同系列感があります。
読み方も「しゃぶよう」と「しゃぶさい」で近く、どちらもしゃぶしゃぶの食べ放題が主力。
しかし、しゃぶ葉はすかいらーくグループ。
しゃぶ菜はクリエイト・レストランツグループが展開するブランドです。
会社もブランド群も別で、名前と業態が似ている別チェーンという整理になります。
名前は似ているけど、業種まで違うチェーン
ナフコとナフコ不二屋|ホームセンターと食品スーパー
全国でホームセンターや家具店を展開する「ナフコ」の運営会社は、北九州市に本社を置く株式会社ナフコ。
一方、愛知県には「ナフコ不二屋」という食品スーパーがあります。
こちらを運営するのは株式会社不二屋で、商号として「ナフコチェーン」を使用。1946年創業の地域スーパーです。
同じ「ナフコ」の看板でも、片方はホームセンター、片方は食品スーパー。
地域が違うと「ナフコ」という言葉から思い浮かべる店自体が違うという面白い例です。
ジョイフルとジョイフル本田|ファミレスと巨大ホームセンター
ファミリーレストラン「ジョイフル」と、ホームセンター「ジョイフル本田」も別会社。
ファミレスのジョイフルは1976年に大分県で会社を設立し、1979年にジョイフル1号店を開店。
ジョイフル本田は1975年設立で、本社は茨城県土浦市。ホームセンターや住宅リフォーム事業を展開しています。
創業時期はかなり近いのですが、片方は九州発のファミレス、片方は北関東発のホームセンター。
会社概要を並べれば、かなり遠い親戚どころか普通に別世界です。
紀ノ国屋と紀伊國屋書店|どちらも「きのくにや」だけど別会社
高級スーパーとして知られる「紀ノ国屋」と、大型書店の「紀伊國屋書店」。
漢字表記こそ違いますが、読み方はどちらも「きのくにや」。
スーパーの紀ノ国屋は1910年、東京・青山の果物商として創業。1953年にはセルフサービス式のスーパーマーケットを青山に開きました。
一方、紀伊國屋書店は1927年、新宿で書店として創業。
こちらの屋号「紀伊國屋」は、創業家の先祖が紀州・和歌山にちなんで付けたものとされています。
似た読み方になったものの、スーパーと書店では創業者も歴史もまったく別です。
さらにややこしい|会社名そのものまで同じ・ほぼ同じ
店名が似ているだけなら、まだ分かります。
ところが世の中には、運営会社の名前まで同じという例があります。
しまむらとしまむらストアー|「株式会社しまむら」が本当に2社ある
全国的に有名な「ファッションセンターしまむら」。
運営会社は埼玉県さいたま市に本社を置く株式会社しまむらです。
ところが神奈川県湘南地域には「しまむらストアー」という食品スーパーがあり、こちらの会社名も――
株式会社しまむら。
完全に同じです。
食品スーパー側は1950年創業で、本社は神奈川県平塚市。衣料品のしまむらとは別会社として地域スーパーを展開してきました。
タイヨーとタイヨー|会社名だけでなく両方ともスーパー
しまむら以上に強烈なのが「タイヨー」。
鹿児島県を中心にスーパーを展開している会社は、鹿児島市に本部を置く株式会社タイヨー。
そして茨城・千葉・東京で「スーパーマーケットタイヨー」を展開している会社も、茨城県神栖市に本社を置く株式会社タイヨー。
しかも、どちらも主力事業は食品スーパーです。
鹿児島側は1960年に「スーパー大洋」を開店。
関東側は1966年創業、1972年に株式会社タイヨーを設立しています。
「株式会社タイヨーが運営するスーパーのタイヨー」だけでは、どちらの会社か判別できません。
OIOIのマルイとスーパーのマルイ|創業月まで同じ
関東などで「マルイ」と言えば、赤い「OIOI」の看板で知られる商業施設を思い浮かべる人が多いはず。
ところが岡山県・鳥取県・島根県には、食品スーパーの「マルイ」があります。
こちらを運営するのは岡山県津山市の株式会社マルイで、丸井グループとは別会社。
それだけなら同名企業の話ですが、沿革を見比べていて妙な偶然を発見しました。
スーパーのマルイは1931年2月に「マルイ食料品店」として創業。
一方の丸井グループも1931年2月17日創業。
名前が同じように読めるだけでなく、創業した年月まで同じ。
今回調べた中でもかなり出来すぎた偶然です。
フジとFUJI|同じスーパーでも西日本と関東で別会社
スーパーの「フジ」も地域によって話が変わります。
中国・四国地方を中心に展開する株式会社フジは1967年設立。
一方、神奈川県や東京都でスーパー「FUJI」を展開しているのは富士シティオ株式会社。
こちらは1952年創業で、1965年に「富士スーパー」1号店を開店しています。
どちらも食品スーパーで「フジ」。しかし、会社も創業地も沿革も別です。



会社名まで同じで、しかも同じ業種。タイヨーは初見で見分けろという方が無理。
同じ会社名があっても法律上はおかしくないの?
ここまで読むと、「株式会社しまむら」や「株式会社タイヨー」が2社存在していいの?という疑問が出てきます。
法務省によると、会社登記で禁止されているのは、すでに存在する会社と商号と本店所在地の両方が同一になるケースです。
逆に言えば、同じ商号であっても本店所在地が異なれば、それだけを理由に登記できないわけではありません。
もちろん、他社と誤認させる目的で著名な名称を使うなど、商標法や不正競争防止法など別の問題が生じる場合はあります。「同じ会社名なら何でも自由」という意味ではありません。
だから埼玉と神奈川に「株式会社しまむら」があり、鹿児島と茨城に「株式会社タイヨー」が存在すること自体は不思議ではないというわけです。
昔は別会社だったのに、後から本当に同じグループになった例もある
ウエルシアとウェルパーク|2024年から本当に同じグループへ
最後は少し変わったパターン。
ドラッグストアの「ウエルシア」と「ウェルパーク」です。
名前が似ているので昔から同じ系列のように見えますが、ウェルパークは1990年に設立された別会社で、長くいなげや系のドラッグストアとして展開していました。
ところが2024年9月、ウエルシアホールディングスがウェルパークを子会社化。
現在のウェルパーク公式会社概要にも、親会社として「ウエルシアホールディングス」と明記されています。
つまり昔は「名前が似た別系列」だったのに、後から本当に同じグループになったという珍しいケース。
こうなると「昔から系列だと思ってた」という記憶が、結果だけ見れば正解になってしまいます。
調べてみると「似ている店名」の理由は全部違った
最初は「餃子の王将と大阪王将って、結局どういう関係なんだろう」という程度の疑問でした。
でも同じような店を集めてみると、単なる店名かぶりでは済まない話が次々に出てきます。
- 暖簾分けから別会社になった……餃子の王将/大阪王将
- ひとつの会社から分社した……551蓬莱/蓬莱本館
- 近い関係から複数の同名チェーンが生まれた……和幸
- 元FCが離脱して新ブランドを作った……ほっかほっか亭/ほっともっと
- 別会社だけど意図的に名前やロゴを合わせた……BOOKOFF/HARD OFF
- 似すぎて実際に裁判になった……からやま/から好し
- 名前と業態が似ているだけ……ベルク/ベルクス、しゃぶ葉/しゃぶ菜
- 会社名そのものまで同じ……しまむら、タイヨー
- 昔は別系列だったのに後から同グループになった……ウエルシア/ウェルパーク
店名が似ているからといって「同じ会社」「無関係」の二択ではありません。会社の沿革までたどると、暖簾分け、分社、FC離脱、創業者同士の交流、商標争いなど、店名の裏に企業の歴史がそのまま残っていることがあります。
街で「これ、あの店と関係あるの?」と思う看板を見つけたら、公式サイトの会社概要だけでなく「沿革」まで見てみると面白いかもしれません。


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