スマホの「2年返却・月1円」に落とし穴!追加料金トラブルが起きる理由を調べてみた

「iPhoneが月々1円!」


「2年後に返却すれば実質24円!」

最近、携帯電話会社の広告で、こんな宣伝文句をよく見かける。

10万円以上するスマートフォンが月々たったの1円。2年間使っても、わずか24円。

え、安すぎない?

もちろん、そんなうまい話には条件がある。一定期間が経ったらスマホを携帯電話会社に返却すること。そうすれば、残りの端末代金の支払いが免除されるという仕組み。


ところが、ちょっと調べてみると「普通に使っていたつもりなのに故障扱いになった」「返却したら追加料金が発生した」といったトラブルの報告もSNS等で複数見つかった。

しかも最近は、端末の故障や破損とは別に、返却プログラムを利用するための料金まで設定している会社がある。

その一方で、この仕組みとMNP(他社乗り換え)を組み合わせて、スマホ代を驚くほど安く抑えている人たちもいるらしい。

いったい誰が得をして、どこに落とし穴があるのか。

気になったので、各社の公式情報やSNSでの報告をもとに、スマホの2年返却プログラムについて調べてみた。

目次

スマホの「2年返却・月1円」とは?各社のプログラムを比較


まず気になったのは、どこの携帯電話会社がこうした仕組みを提供しているのかということ。

代表的なサービスを一覧にしてみた。

通信会社代表的なプログラム主な注意点
ドコモいつでもカエドキプログラム返却時のプログラム利用料は最大22,000円。査定不適合時には別途故障時利用料が発生する場合あり
auスマホトクするプログラム+特典利用料は最大22,000円。故障時利用料も別途最大22,000円の場合あり
ソフトバンク新トクするサポート+特典利用料は最大22,000円。加入時期・査定ランクなどにより故障時負担金も変動
楽天モバイル買い替え超トクプログラム返却時の事務手数料3,300円。損傷したiPhoneは故障費用22,000円
ワイモバイル新トクするサポート(A)48回払いで購入し25カ月目以降に返却。査定不適合時は22,000円の追加負担の場合あり
UQ mobileスマホトクするプログラム系購入時期・対象プログラムにより利用料や返却条件が異なる

2026年10月9日時点の公式情報をもとに作成。掲載サービスは機種・契約区分・加入時期で条件が異なる。すべての機種が月1円になるわけではない。


並べてみると、見事なくらい似たようなサービスばかり。

でも、同じ「2年返却」に見えても、適用条件は会社ごとに微妙に違う。

そもそも48回払いで購入し、約2年後に返却すると残りの支払いが不要になるものが多い。

つまり、「2年間で本体を買い取れる」という話じゃない。

もちろん、返却せず使い続けることもできる。ただ、その場合は残りの端末代金を支払う必要がある。

これだけ似た仕組みを各社そろって採用しているのも、なんだか不思議な話だよね。

実際にiPhoneを月1円で使えるキャンペーンもある

例えば楽天モバイルでは、iPhone 17e(256GB)を対象に、他社からの乗り換えと楽天カード48回払いなどを条件にしたキャンペーンが行われている。

最初の24回は月々1円。そして25カ月目に所定の条件で返却すれば、残りの端末代金を支払わなくて済む仕組み。

公式キャンペーンにはiPhone 17eが月1円になる条件が掲載されている。

たしかに、最初の24回分の端末代金は合計24円。ただし、それだけで全部済むわけではない。

最初の24回の端末代24円
25カ月目の返却手数料3,300円
合計3,324円

これは問題なく返却できた場合の端末関連費用の一例。毎月の通信料金やその他の費用は含まれていない。

それでも、新しいiPhoneを2年間使って3,324円なら、かなり安いと思う。

仕組みを理解して、条件どおりに利用できる人にとっては、かなり魅力的なサービスだと思う。

でも、気になるのは、その条件を最後まで満たせなかったとき。

携帯ロンダリング?MNPを繰り返してスマホ代を節約する人たち

ところで、スマートフォンを安く使う方法を調べていたら、MNPを繰り返して得をするという話にも行き着いた。

MNPとは、電話番号を変えずに携帯電話会社を乗り換えること。

同じ会社をずっと使うより、別の会社に乗り換えた方が端末の割引やポイント還元で得をする場合があるらしい。

こうして乗り換えを繰り返す行為は、ネット上で「携帯乞食」などと呼ばれることもある。ここでは、俗にいう携帯ロンダリング的な節約方法として見ていこう。

2年ごとに通信会社を乗り換えて格安スマホを使い続ける




やり方の基本は、意外と単純。

  1. A社からB社へMNPで乗り換える
  2. 乗り換え特典を使い、2年返却型の格安端末を契約する
  3. 約2年間スマホを使う
  4. 所定の時期に端末を返却して、残価の支払い免除を受ける
  5. 次の端末は、その時点で条件の良い会社を比較して契約する

毎回お得なキャンペーンが見つかって、返却条件も満たせるなら、スマホの利用コストをかなり抑えられそう。

ただし、2年返却プログラムと通信回線の契約は別物。会社を乗り換えたからといって、購入済み端末の返却義務や残債まで消えるわけじゃない。

それに、同じキャンペーンを何度も利用できるとは限らない。過去の契約履歴や適用回数によって、特典の対象外になる場合もある。

実際、楽天モバイルのiPhone 17e月1円キャンペーンでは、特価の適用は1人1回までとされている。

ポイント還元まで狙う「携帯ポイ活」


さらに、端末代の節約だけでなく、乗り換え時のポイント還元を狙う方法もある。

例えば、ワイモバイルではSIM・eSIMのみの契約を対象とするPayPayポイント還元キャンペーンが実施されている。

つまり、今のスマホをそのまま使い、SIMだけ乗り換えてポイントを受け取る方法もあるということ。

端末の割引、通信費の節約、ポイント還元。条件をうまく組み合わせれば、かなりお得になりそう。

ただし、端末セット購入の特典とSIMのみ契約の特典は、通常は別のキャンペーン。両方を無条件でもらえるわけじゃない。

ポイントが付与されるまでの契約継続条件やエントリーの有無、対象外となる乗り換え元なども確認しておきたいところ。

また、一括値引きで安く購入したスマホを、完済後に中古として売却する方法もある。ただし、返却を前提に残価の免除を受けるプログラムでは、売ってしまった端末を返却することはできない。

「返却して残債免除」と「中古で売って現金化」は、同じ端末で両取りできるものではない。

複数回線の契約や短期間での解約を繰り返せば、キャンペーン対象外や契約審査上の不利益につながる可能性もある。

節約が目的でも、キャンペーン規約と契約内容を守るのは大前提。

それにしても、同じスマホを使うのに、契約する会社や時期だけでこんなに負担額が変わるのは面白い。

長年同じ会社を使っている人より、乗り換えを繰り返す人の方が優遇されることもある。なんとも妙な仕組みだなと思う。

ここからが本題!2年返却プログラムに潜む落とし穴

と、ここまではうまく使えた場合の話。

気になるのは、約2年後に端末を返却するとき。

公式サイトの注意事項を読んでみたら、引っかかる条件がいくつも見つかった。

落とし穴① 普通に使えても「損傷品」になる可能性がある

スマホって、毎日使うものだよね。

ケースを付けて大切に扱っていても、細かな傷や使用感まで完全には防げない。

ところが、楽天モバイルの製品状態の判定基準には、軽度の傷でも複数ある場合には損傷品になる可能性があると説明されている。

同社のiPhoneでは、損傷品と判定された場合の故障費用は22,000円。

ワイモバイルでも、端末が所定の査定基準を満たさない場合には22,000円の追加負担が発生する場合がある。

もちろん、通常使用によるすべての傷が追加料金の対象になるわけではない。

しかし、「自分では問題なく使えている」と「会社の査定で良品と判定される」は別の話。

私が不安に思うのは、まさにここ。

落とし穴② 故障していなくても「利用料」が発生する

さらに驚いたのが、こちら。

ドコモ、au、ソフトバンクの現行制度では、返却プログラムの特典を利用する際に、最大22,000円の利用料が設定されている。

しかも、これは故障時の負担金とは別の費用。

例えばauのスマホトクするプログラム+では、特典利用料とは別に、端末の状態によって最大22,000円の故障時利用料が必要になる場合がある。

つまり、条件によっては合計44,000円の追加費用がかかることも考えられる。

ソフトバンクは2026年8月19日から査定基準と故障時負担金を変更しており、加入時期や端末の状態によっては、故障時負担金が最大44,000円になるケースもある。

もちろん、特典利用料を買い替え特典で相殺できたり、補償サービスによって故障時負担金が減額されたりする場合もある。

でも、そのためにはまた別の条件を満たさなければならない。

安く買いたいだけなのに、条件を理解するためにまた別の条件を読まなきゃいけないの……?

落とし穴③ 返却手続きに失敗すると高額な残債が残ることも

しかも、ただ端末を返せばそれで終わり、というわけでもない。

例えばドコモの公式FAQでは、郵送による返却申込み後、所定の期限までに端末が到着しなかった場合などに、支払い不要になるはずだった残債相当額の違約金が発生することがあると説明されている。

初期化されていない端末や改造された端末など、受付不可品に該当する場合にも注意が必要。

端末が正常でも、手続きに不備があれば思わぬ負担につながりかねない。

そもそも返却期限を忘れたり、返却プログラムを利用せずに使い続けたりした場合は、原則として残りの端末代金を支払うことになる。

「2年間でたった24円」という数字だけ覚えていたら、後でびっくりすることになりそう。

Xでも返却時のトラブル報告が!実際の投稿を見てみる

では、実際にはどんなトラブルが報告されているんだろう。

Xで見つけた投稿を、いくつか見てみよう。

以下は投稿者本人の申告に基づく事例。端末の実際の状態や携帯電話会社側の判断について、第三者による検証が完了したものではない。

普通に使っていたはずが22,000円を請求されたという投稿

あるXユーザーは、ソフトバンクの旧端末返却プログラムを利用し、丁寧に使っていた端末を返却したところ、液晶に問題があると判定され22,000円を請求されたと投稿している。

投稿者は返却前に外傷や動作の問題がないことを確認していたと説明しており、判定の詳細を求めたという。


端末の状態について、利用者と携帯電話会社の認識が食い違っているケース。

もちろん、実際の液晶の状態をこちらで確認できたわけではないため、査定が誤っていたと断定することはできない。

それでも、利用者が納得できる形で査定結果を確認できる仕組みは、やっぱり必要だと思う。

返却を申し込んでも手続きが進まないという投稿

もう一つ、気になった投稿がこちら。

楽天モバイルの返却プログラムで、返却申込みがキャンセルされ、理由も分からないまま手続きが進まなかったという内容。

投稿者は、返却が月末に間に合わず、余分な支払いが発生することを懸念している。


こちらは端末の損傷ではなく、返却手続きそのものに関するトラブル。

仮に端末をきれいに保っていても、返却の申込みや回収がうまく進まなければ、予定していた支払い免除を受けられない場合がある。

これも2年返却プログラムならではの面倒なところ。

一方で格安の返却プログラムを積極的に紹介する投稿も

もちろん、否定的な意見ばかりではない。

Xには、2年返却を前提としたiPhoneの格安販売情報を積極的に紹介しているアカウントもある。


こうした情報をチェックして、通信会社を比較するのが得意な人にとっては、かなり魅力的な仕組みなのかもしれない。

ただし、紹介されている実質価格が、返却時の各種料金や通信費まで含めた総額とは限らない。

安い価格を見つけたら、適用条件まで確認しておきたいところ。

なぜ携帯電話会社はそろって似たような仕組みを採用するのか?



ここで、もう一つ気になることがある。


ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル……どうして各社そろって似たような返却プログラムを採用しているのだろう?


裏で何か取り決めでもあるの? と勘ぐりたくなるけれど、もちろんそれを裏付ける証拠があるわけじゃない。

他社の販売方法を参考にするうちに、似た仕組みが広がった可能性もある。

ただ、返却型の端末販売が抱える問題は、今に始まった話じゃない。

公正取引委員会は2018年、当時のいわゆる「4年縛り」型の端末購入プログラムについて、利用者
が他社へ乗り換えにくくなるおそれや、端末を半額で購入できるかのような印象を与える問題を指摘している。

参考:公正取引委員会「携帯電話市場における競争政策上の課題について」(2018年)



さらに2023年には、スマホの極端な「1円販売」についても実態調査が行われた。

参考:公正取引委員会「携帯電話」



つまり、スマホの販売方法が分かりにくいという問題は、最近になって突然生まれた話ではない。


携帯電話業界では、以前から繰り返し問題になってきた話なんだよね。

昔は通信料金、今度は端末代!いつまで複雑なことをやっているのか

思い返してみると、昔の携帯電話の料金体系もずいぶん複雑だった。

基本料金、パケット定額、家族割、長期契約割引、各種オプション、2年縛りに解約違約金。

結局いくら払えばいいのか、契約内容をぱっと見ただけでは分からないことも珍しくなかった。

その後、通信料金と端末代金の分離や各種規制の見直しが進み、以前のような契約期間の縛りも縮小してきた。

ところが今度は、端末販売の方でこれ。

  • 月々の支払いは1円
  • ただし約2年後に端末を返却すること
  • 返却時には所定の査定がある
  • 査定次第では追加料金が発生する
  • 返却プログラムの利用料が必要な場合もある
  • 次の機種を購入すれば一部費用が免除される場合もある
  • 加入時期や契約区分によって条件が変わる

昔は通信料金を複雑にしていたのに、今度は端末代金まで複雑にしている。

もちろん、細かな条件が必要なのは分かる。

でも、利用料や査定基準、通信料金を含めた負担額を、最初からもっと分かりやすく示せないものなの?

「月1円」という魅力的な数字を目立たせる一方で、消費者が本当に支払う金額を把握するには複雑な条件を読み解かなければならない。

どうにも、すっきりしない。

結局、スマホの2年返却プログラムはお得なのか?

ここまで調べてみて思ったのは、2年返却プログラムが誰にとっても損な仕組みというわけではない、ということ。

毎回新しいiPhoneに買い替えたい人や、端末をきれいに使い、契約条件や返却期限を管理できる人には十分なメリットがある。

反対に、同じスマホを長く使いたい人や、傷などをあまり気にせず使いたい人には、普通に購入する方が向いている場合もある。


ただし、返却前提の購入では最後に端末が手元に残らない。その点も忘れたくない。

2年返却プログラムのお得さは「最初の24回の端末代」だけでは判断できない。通信料金、返却時の手数料、特典利用料、故障時負担金、返却しない場合の残債まで含めて比較する必要がある。

私としては、端末を買い切って自分のものにする方が気楽かな。


とはいえ、今のiPhoneは決して安い買い物じゃない。


だったら、2年返却を使わずに安く買う方法はないの?

Apple公式、ペイディー分割、MNP一括割引、中古・整備済み品など、返却不要でスマホを安く購入する方法については、別の記事で比較してみたい。

。

あとがき:基本、携帯電話業界は胡散臭い



昔は複雑怪奇な通信料金で消費者を煙に巻いていたかと思えば、今度は「月1円」「実質24円」などと安さを強調しながら、返却条件や追加料金でまた複雑怪奇な仕組みを作り上げている。

顧客満足なんて二の次で、いかに安く見せかけ、いかに複雑な条件を設け、いかに消費者から金を搾り取るか。



そんなことばかり考えているようにしか見えない。

もちろん、実際にどんな意図で制度を設計しているのか、私には分からない。

でも、これだけ細かな条件だらけの商品を、平然と「月々1円でお得ですよ!」と宣伝できてしまう感覚は、私にはどうにも理解できない。

本当に消費者のことを考えているの? それとも、消費者が細かな条件をよく理解しないまま契約してくれることを期待しているの?

昔は通信料金、今度は端末代金。

少なくとも私には、携帯電話業界が昔からずっと「いかに消費者を満足させるか」ではなく、「いかに消費者から金を取るか」を競い合っているようにしか見えない。

まったく、どこまで胡散臭い業界なんだろう。

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