ここ数年、東京ディズニーリゾートへ行くたびに思うことがある。
楽しい。やっぱり楽しい。
でも帰り道、財布の中身がとっても減っている。
わが家は3人家族で、半年に一度くらいランドかシーへ行くのがルーティーン。
そのために毎月少しずつ「ディズニー用」のお金も積み立てている。
高級レストランを何軒も回るわけでも、グッズを山ほど買い込むわけでもない。
普通に一日遊んで、食べて、少しお土産を買って帰る。
それでも最近は、ずいぶん大きな出費になったと感じるようになった。
以前ならもう少し気楽に行ける場所だった。
それが少し気合を入れていかなければならない場所になった。
今後も同じように負担が増えていけば、自分たち3人で半年に一度というペースさえ難しくなるかもしれない。
昔はもっと気軽な「ちょっと特別なお出かけ」だったはずなのに、今ではなかなか立派な一大イベントだ。
そこで気になった。
東京ディズニーリゾートは、この先どこまで高くなるのだろう?
まず、チケット代はどこまで上がったのか
東京ディズニーリゾートは昔から安いレジャーではなかった。ただ、ここ10年あまりの1デーパスポートの推移を並べると、値上がりの大きさがよく分かる。
| 時期 | 大人1デーパスポート | 主な変化 |
|---|---|---|
| 2014年4月 | 6,400円 | 6,200円から改定 |
| 2015年4月 | 6,900円 | 500円値上げ |
| 2016年4月 | 7,400円 | さらに500円値上げ |
| 2019年10月 | 7,500円 | 消費税率改定に伴う変更 |
| 2020年4月 | 8,200円 | 700円値上げ |
| 2021年3月 | 8,200円/8,700円 | 変動価格制を導入 |
| 2021年10月 | 7,900~9,400円 | 4段階へ拡大 |
| 2023年10月 | 7,900~10,900円 | 6段階へ拡大 |
| 2026年10月 | 9,900~12,400円 | 実際の販売カレンダー上の価格 |
出典:オリエンタルランド「統合報告書2024」、東京ディズニーリゾート公式「2026年10月 パークチケット」
2016年4月の7,400円から、2026年10月に設定されている最高価格12,400円を比べると、10年間で5,000円増。名目価格では約67.6%の上昇になる。
さらに2014年の6,400円と12,400円を比べれば、ほぼ1.94倍。もちろん物価も人件費も上がっているし、ファンタジースプリングスをはじめ大規模投資も続いているので、数字だけ見て「値上げは全部悪い」と言うのは乱暴だと思う。
実際、オリエンタルランドはチケット価格を決める要素として、テーマパーク価値の向上、価格感度調査、ゲスト需要などを挙げている。混雑する日を高く、空いている日を安くする変動価格制には、来園日を分散させる意味もある。
ただし、家族で出かける側からすると話は単純で、「一番行きたい休日ほど高い」という場面が増えやすい。3人、4人、5人と人数が増えれば、その差はそのまま人数分積み上がる。
DPAは2022年に登場。いまは「時間を買う」費用も大きい

チケット代だけを見ていると、今の東京ディズニーリゾートの「一日総額」は見えてこない。大きいのが、2022年5月に導入された有料サービス、ディズニー・プレミアアクセスだ。
DPAは、対象施設の体験時間や入場時刻などを指定して購入し、通常より短い待ち時間で利用できるサービス。導入時の「美女と野獣“魔法のものがたり”」と「ソアリン:ファンタスティック・フライト」は1回2,000円だった。
その後は対象施設が増え、アトラクションだけでなくパレードやショーにも拡大。2024年6月に開業した「アナとエルサのフローズンジャーニー」も、導入時は1回2,000円だった。
そして2026年9月1日から一部対象施設の価格が変更され、現在は「美女と野獣」「ソアリン」「アナとエルサのフローズンジャーニー」が1回2,500円。「センター・オブ・ジ・アース」も、以前の1,500円から現在は2,000円になっている。
| 施設 | 以前の価格 | 2026年9月改定料金 |
|---|---|---|
| 美女と野獣“魔法のものがたり” | 2,000円 | 2,500円 |
| ソアリン:ファンタスティック・フライト | 2,000円 | 2,500円 |
| アナとエルサのフローズンジャーニー | 2,000円 | 2,500円 |
| センター・オブ・ジ・アース | 1,500円 | 2,000円 |
出典:オリエンタルランド「ディズニー・プレミアアクセスの対象」、東京ディズニーリゾート公式「ディズニー・プレミアアクセス」、2026年8月サイト更新情報
1人なら「500円上がったのか」で済む。
でも家族になると見え方が変わる。
たとえば5人家族でアナ雪のDPAを全員分買えば、1回で12,500円。3人家族でも7,500円。もし2つの2,500円対象アトラクションを3人全員で買えば、それだけで15,000円になる。
もちろんDPAを買わなくても、通常のスタンバイ列で利用できる施設はある。だから「絶対に払わなければ乗れない」と言うのは違う。
ただ、混雑日に長時間並ぶか、家族全員分のお金を払って時間を買うかという選択になる。
小さな子どもや高齢の親と一緒なら体力の問題まで絡んでくる。
ここでDPAは、単なる「贅沢なオプション」とも言い切れなくなる。快適に一日を回るための現実的な費用に近づいてくるからだ。
無料のプライオリティパスは終了。その直後にDPA価格も変更
もう一つ、2026年は待ち時間対策の仕組みが大きく変わった。
2023年7月に始まった「東京ディズニーリゾート40周年記念プライオリティパス」は、対象アトラクションを指定時間に短い待ち時間で利用できる無料のサービスだった。40周年イベント終了後も継続していたが、2026年8月31日で終了した。
そして翌日の2026年9月1日から、プライオリティパスの対象だった一部アトラクションがDPA対象になっている。
2024年時点の無料プライオリティパス対象には、ビッグサンダー・マウンテン、プーさんのハニーハント、ホーンテッドマンション、モンスターズ・インク、インディ・ジョーンズ、レイジングスピリッツなどが含まれていた。
2026年9月現在のDPA対象を見ると、ビッグサンダーは1,500円、プーさんは1,500円、モンスターズ・インクは1,000円、レイジングスピリッツは1,500円。ホーンテッドマンションも期間限定で1,000円、インディ・ジョーンズも2026年11月30日から1,500円の対象になっている。
一方で、かつて無料プライオリティパス対象だったスター・ツアーズや海底2万マイルなど、現在DPA対象になっていない施設もある。
つまり正確には、「無料の時間短縮サービスが終了し、その一部が有料へと変わった。」という変化になる。
出典:オリエンタルランド「40周年記念プライオリティパスの対象」、東京ディズニーリゾート公式「2026年8月31日終了のお知らせ」、現在のDPA対象施設・価格
プライオリティパスは最初から期間限定色の強い名称だったので、終了したこと自体を「約束違反」と見るのは違う。それでも、無料で時間を節約できる選択肢が減った直後に有料側の価格が上がれば、家族客の財布にとってはかなり分かりやすい負担増になる。
フードもじわじわ高くなった
フードもじわじわ高くなった
パークのフードは、昔から街中よりちょっと高かった。
それでも「まあディズニーだし、このくらいはするよね」で納得して購入していたのだけれど、その“もともと高かったテーマパーク価格”も、長い目で見るとかなり上がっている。
分かりやすいのが、昔からパークの定番だったシナモン味のチュロスだ。
古い記録をたどると、2002年ごろのパークサイドワゴンでは、シナモン味のチュロスが1本200円で販売されていた。その後、2009年には250円、2013年には300円。さらに少しずつ値上がりを続けている。
| 確認できた時期 | シナモン味チュロスの価格 |
|---|---|
| 2002年頃 | 200円 |
| 2009年 | 250円 |
| 2013年 | 300円 |
| 2018年 | 310円 |
| 2020年 | 350円 |
| 2021年 | 400円 |
| 2023~2024年 | 450円 |
| 2026年 | 500円 |
こうして並べると結構すごい。
200円だったシナモンチュロスが、今は500円。約2.5倍になっている。
そして、値段だけではない。
昔からシナモンチュロスを食べている身としては、今のチュロスは以前より明らかに小さくなったように感じる。
昔はもっと長くて、「一本食べればそれなりに満足するおやつ」という感覚があった。それが今は500円まで値上がりしたうえに、見た目のボリュームまで控えめになった印象がある。

高くなるだけならまだしも、ちっちゃくまでなるのはちょっと待って。
ただし一サイズについてはあくまで長年食べてきた私の個人的な実感。
3人家族なら、昔は3本買って600円。それが今なら1,500円だ。
もちろん20年以上も経っているので、値上がりすること自体は不思議ではない。原材料費も人件費も光熱費も上がっている。
それでも、昔は「ちょっと小腹が空いたからチュロス食べようか」で済んでいたものが、家族3人で1,500円となると、ずいぶん立派なおやつになった。



チュロス、いつの間にか貴族のおやつになってない?
しかも、一日の支出は当然チュロスだけでは終わらない。
昼ごはんを食べて、飲み物を買って、夕方にまた何か食べる。ポップコーンも欲しくなるし、帰りにはお土産もある。
入園料やDPAの値上げは金額が大きいから目立つ。でも実際に一日パークで過ごすと、こうした数百円単位の値上がりも何度も積み重なってくる。
だから最近のディズニーは、「チケットが高くなった」というより、入ってから帰るまで、あらゆるところで以前よりお金がかかるようになったという感覚の方が近い。
出典:「TDL レストラン&フード・ガイド」、Color of My Life「元祖チュロスワゴン」、ディズニーランド攻略法「チュロスの味の種類」、東京ディズニーリゾート公式「ミッキーチュロス(シナモン)」



ディズニーランド系Youtuberが値段の高さに触れず「わーかわいー」「わーおいしー」とだけ褒めちぎってるの見ると若干イラっと来るんだよね。
では、家族3人で一日遊ぶと実際いくらかかるのか?


チケット代、DPA、食事、軽食、グッズ、お土産。
一つひとつを見ると「まあ、このくらいか」と思える金額でも、朝から夜まで一日過ごすとかなりの額になる。
わが家では、毎月1万円ずつディズニー用に積み立てている。半年で6万円。これを3人家族でランドかシーへ行くときの、チケット代込みの予算にしている。
以前なら多少余ることもあったけれど、最近はこの6万円がほとんど残らない。
うちが特別に使いすぎているのか?
ここで参考になるのが、オリエンタルランドが公表している「ゲスト1人当たり売上高」だ。
2025年度の東京ディズニーランド・東京ディズニーシーでは、ゲスト1人当たり売上高が18,403円となっている。
| 区分 | 1人当たり | 3人分にすると |
|---|---|---|
| アトラクション・ショー収入 | 9,608円 | 28,824円 |
| 商品販売収入 | 5,227円 | 15,681円 |
| 飲食販売収入 | 3,569円 | 10,707円 |
| ゲスト1人当たり売上高 | 18,403円 | 55,209円 |
もちろん、これは「3人家族なら平均55,209円使う」という意味ではない。
大人も子どもも、DPAを買う人も買わない人も、グッズを大量に買う人もほとんど買わない人も全部ひっくるめた1人当たりの数字だ。
それでも、単純に3人分へ置き換えると55,209円になる。
しかもこの数字には、自宅から舞浜までの交通費は入っていない。電車代、バス代、車なら高速料金やガソリン代。遠方からならホテル代も別にかかる。
そう考えると、わが家で用意している「3人で6万円」はほぼ平均単価。
余らないのもある種当然と言えるだろう。
実際、一日遊べばこんなところにお金がかかる。
- 1デーパスポート
- DPA
- 昼食・夕食
- 飲み物
- チュロスやポップコーンなどの軽食
- 子どものグッズ
- 自宅用や家族用のお土産
- 交通費
- 遠方ならホテル代
そしてディズニーの場合、この中で削りやすいものが意外と少ない。
朝から夜までいれば食事は必要になるし、せっかく来たなら人気アトラクションにも乗りたい。子どもが欲しがったグッズを一つくらい買ってあげたいし、帰りにお土産も少しは欲しくなる。
だから今の負担感は、単純に「チケットが高くなった」だけではない。
ディズニーで一日を普通に楽しむために必要な総額そのものが、かなり大きくなっている。
では実際、値上げで「客離れ」は起きているのか
ここまで読むと、「そんなに高くしたら客が離れるのでは?」と思う。
ただ、現時点の数字だけを見て「値上げのせいでディズニー離れが起きているか?」と言えば実際にはそうでもない。
2025年度の2パーク入園者数は2,753万4,000人。オリエンタルランドは2026年度(2027年3月期)について、2,800万人へ1.7%増えると予想している。
さらにゲスト1人当たり売上高も、18,403円から18,712円へ1.7%増える見通し。つまり会社側は、少なくとも直近については「来園者数も増え、1人当たり売上高も増える」と見ている。
| 指標 | 2025年度実績 | 2026年度会社予想 |
|---|---|---|
| 入園者数 | 2,753万4,000人 | 2,800万人 |
| ゲスト1人当たり売上高 | 18,403円 | 18,712円 |
| アトラクション・ショー収入 | 9,608円 | 10,001円 |
| 商品販売収入 | 5,227円 | 5,170円 |
| 飲食販売収入 | 3,569円 | 3,541円 |
2025年度は、入園者数が前年度とほぼ同じでも、アトラクション・ショー、商品、飲食の1人当たり収入がいずれも増え、オリエンタルランド全体の売上高は過去最高になった。
短期的に見る限り、「値上げしたら誰も来なくなった」という状態ではまったくない。東京ディズニーリゾートには、それだけ強いブランド力と需要がある。
また、東京ディズニーランドは現在、入場者数が一定数に達したらチケットを完売にする対応もしており、一定数以上はパーク内の人数が増えぬよう上限を設けている。
それを踏まえたら、物価高等に伴いチケットや各種諸々の価格が上がってしまうのも仕方ないのだろう。
でも、私が気になっているのは来年の入園者数だけではない。
一人の人が、生涯で何回ディズニーへ行くのか。
半年に一度行っていた家庭が年に一度になり、年に一度が2年に一度になる。それでも一回当たりの支出が増えれば、会社の売上はしばらく伸びるかもしれない。
けれど、来園頻度が下がれば、子どもがディズニーに触れる回数も減る。「子どもの頃に何度も連れて行ってもらったから、大人になって今度は自分の子を連れて行く」という循環まで弱くならないだろうか。
これは今の入園者数だけでは、なかなか見えてこない問題だ。
実はオリエンタルランド自身も「未来のファン」をかなり気にしている
ここまで私は「将来のファンが減らないのかな」と勝手に心配してきた。でも調べていて面白かったのが、オリエンタルランド自身も、かなり近い問題意識を持っていることだった。
2035長期経営戦略では、高齢化と人口減少による国内市場の縮小を背景として、「ゲスト層の裾野を広げ、集客基盤を強化する」ことを重要な成長戦略として掲げている。
国内ゲストについてはファン層の拡大を進め、統合報告書でも「新たな成長としてゲスト層の裾野の拡大に注力する」と説明。2026年の社長メッセージでも、国内ゲストのファン層拡大と海外ゲストの集客強化を続けているとしている。
一方、テーマパーク事業の2035年に向けた方向として、オリエンタルランドは入園者数のさらなる向上だけでなく、ゲスト1人当たり売上高の向上と、新たな収益モデルの確立も掲げる。
出典:オリエンタルランド「2035長期経営戦略」、「統合報告書2025」、オリエンタルランド「トップメッセージ」
ここに、今のディズニーが抱えている難しさが詰まっている気がする。
一人当たりからもっと売上を得たい。でも同時に、ファンの裾野も広げたい。
高価格化しすぎれば、ライト層や子育て世帯の来園頻度が下がるかもしれない。でも価格を抑えすぎれば、巨額の投資、人件費、施設維持費を抱えながら体験価値を上げ続けるのは難しい。
しかも2035戦略では、シュガー・ラッシュを題材にした新アトラクションへ約295億円、スペース・マウンテンと周辺エリアの一新へ約705億円を投じる計画も公表されている。
今後も新しいものを作り続ける以上、安くなる要因ばかりではない。
10年後のディズニーを考えるうえで重要なのは、「値上げするか、しないか」ではなく、「高単価化とファンの裾野拡大をどう両立するか」なのだと思う。
なんとなくパチンコ業界を思い出してしまう理由
この話を考えていて、頭をよぎったのがパチンコ業界だった。
エンターテイメントと言うくくりで言えばある種近しい存在ではあるが、それでもメロンと冬瓜、あるいはそれ以上にディズニーとパチンコ業界は違う・。
客層も商品も利用目的もまるで違う。
それでも、ライト層が減り、残った熱心な利用者への依存度が高まると、業界の裾野をもう一度広げるのは難しくなるという点では、成熟したレジャー産業の例として少し気になる。
日本生産性本部「レジャー白書2025」のデータでは、パチンコ参加人口は2014年の1,150万人から2024年には690万人へ減少した。2024年は前年から30万人増えているので一直線に減っているわけではないが、10年間で見ると約40%減っている。
警察庁の統計でも、ぱちんこ営業の許可数は2021年末の8,458件から2025年末には6,464件まで減っている。
出典:日本遊技関連事業協会掲載「レジャー白書2025」データ、警察庁「令和7年における風俗営業等の現状」
ただし、ここから「高単価化したからパチンコ人口が減った」「だからディズニーも同じになる」と因果関係をつなげることはできない。パチンコ人口減少には人口構成、規制、娯楽の多様化などさまざまな要因がある。
私が重ねているのは、もっと単純なところだ。
「たまにやる人」がいなくなってから、「また気軽に来てください」と言っても簡単には戻らない。
ディズニーでも、半年に一度が年に一度へ、年に一度が数年に一度へと変わる家庭が増えたとしたら、その変化は今年の売上よりずっと後になって効いてくるかもしれない。
10年後の東京ディズニーリゾートは、どうなっている?


未来は当然分からない。でも、オリエンタルランドが公表している戦略と現在の流れから考えると、2036年の東京ディズニーリゾートにはいくつかの方向がありそうだ。
まず、今より高くなっている可能性そのものは十分ある。大規模投資は続き、人件費や維持費もかかる。すでに変動価格制とDPAを使って「混雑日」「時間価値」「確実性」に価格差をつける仕組みは定着している。
一方で、単純に全部を高級化して「払える人だけ来てください」で終わるとも考えにくい。オリエンタルランド自身が、国内市場の縮小を認識したうえで、ゲスト層の裾野拡大と入園者数のさらなる向上を目標にしているからだ。
そう考えると、10年後は「安いディズニー」と「高いディズニー」が同じパークの中でさらに分かれているのかもしれない。
空いている日は比較的入りやすい価格、混雑日は高価格。普通に並べば追加料金なし、時間を節約したい人はDPA。さらに特別な席、特別な体験、ホテルやバケーションパッケージにはより高い価格を設定する。
逆に、子どもや学生、閑散期、地域限定などを対象に「入口だけは広く保つ」施策が今以上に重要になる可能性もある。2026年にも期間限定のカレッジパスポートが販売されているが、将来のファンを作るなら、若い世代が一度も来られない価格帯にしてしまうのは会社側にとっても得策ではない。
つまり、2036年のディズニーは「全部が超高級化した夢の国」より、入口は残しつつ、快適さ・時間・確実性・特別感にどんどん値札が付く場所になっている可能性のほうが、今の延長線上では想像しやすい。
それが悪いかどうかは、人によって違う。
DPAのおかげで昔より少ない待ち時間で楽しめるなら、「お金を払ってでも時間を買いたい」という人には便利だ。混雑を抑えながら新しい施設への投資が続くなら、パークそのものの価値が上がる可能性もある。
でもその一方で、「追加料金を払わないと一日を十分に楽しみにくい」と感じる人が増えれば、同じパークでも体験の差は大きくなる。
このバランスをどこに置くか。そこが10年後の東京ディズニーリゾートを決める気がする。
10年後も「行きたいけど行けない場所」にはなってほしくない


ここまで記事をまとめていて、わたしは少ししんみりしていた。
わが家が子どもを初めてディズニーへ連れて行ったのは、実はほんの2年ほど前。
それまでもジョイポリスや花やしき、ラクーア等別の遊園地には遊びに行っていた。
でもディズニーだけは、「そのうち連れて行ってあげたいな」と思いながら、値段を考えるとなかなか踏み切れずにいたが、ある出来事をきっかけにディズニーに通う習慣が新たに出来た。
それ学校の先生との面談。
先生が面談中の雑談で、何気なく子どもに「ディズニーのアトラクションでは何が好き?」と聞いた。
当然、行ったことのない子どもは答えあぐねていた。
元々無口で内気なタイプの子でそれまでの質問でも答えあぐねる場面があったので、先生はそこを掘り下げる事をせずに次の会話へと移った。
しかしその姿を見て、わたしはハッとした。
「そういえば、この子をディズニーに連れて行ってあげてなかったな」
別にディズニーへ行ったことがないから何か困るわけではない。それまでだって、家族でいろいろな場所へ遊びに行っていた。
それでも、そのときは凄く申し訳ない気持ちになった。
そして翌月、初めて家族でディズニーシーへ行った。
その費用はこの子の進学用にと少しずつ積み立てていたお金の一部を利用した。
子供は喜んでいたので何よりだった。
それからは毎月1万円ずつ「ディズニー用」に積み立てて、半年に一度くらいランドかシーへ行くようになった。
まだ始まって2年程の、わが家の新しい習慣だ。
だからこの記事を書きながら「この先、月1万円を半年積み立てても足りなくなる日が来るのかな」と考えてしまった。
もちろんあと数年も経てば、子どもはもう一緒にディズニーへ行ってくれなくなっているかもしれない。友達や恋人と行くようになるかもしれないし、そもそもディズニーに興味がなくなっているかもしれない。
それはそれでいい。
子どもが大きくなれば、家族の過ごし方が変わっていくのは当たり前のことだ。
でも、まだ一緒に行きたいと思っているうちに「高すぎるから今回はやめよう」となってしまったらそれは少し寂しい。
半年に一度くらい、家族で一日遊んで、帰りの電車でみんな疲れて眠くなる。
そんな普通の一日を、これからも無理なく過ごせる場所であってほしい。
10年後の東京ディズニーリゾートが、今よりもっと豪華で、もっと便利で、もっとすごい場所になっている可能性は十分にある。
でもそのときも、家族が「よし、半年頑張ったから行こうか」と言える場所で残っていてくれたら、わたしはうれしい。



「夢の国」が、本当に一部の人しか入れない国になっていないといいな。

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